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2025.10.27 昼

腹の虫を抑える、その一杯。@支那麺 はしご 銀座四丁目店

ラーメン・つけめん

銀座・新橋・有楽町

1000円〜2999円

★★★★☆

何度この暖簾をくぐっただろう。オフィスがすぐ近くにあった頃、仕事に追われ、ストレスで腹の虫が暴れ出すと自然と足が向いた場所がある。『支那麺 はしご 銀座四丁目店』。1964年創業、半世紀以上にわたり銀座で“だんだんめん”を掲げ続ける老舗だ。看板にあるのは“担々麺”ではなく“だんだんめん”。その小さな違いに、この店の誇りが宿る。

店先には「虫おさえ」という言葉が掲げられている。関西の言葉で、空腹を覚えたときに“虫を抑える”ために何かを食べる、という意味だそうだ。なるほど、腹の虫を鎮めたい夜にこの店を選ぶのは理にかなっていたわけだ。化学調味料を使わず、素材の力で立たせた味わい。まさに“虫おさえ”の原点がここにある。

この日の注文は、いつもの「排骨(ぱいこう)だんだんめん」。黄金色のスープの表面を薄く覆う芝麻醤、その下には鶏主体の清湯。香ばしいごまの香りと醤油ダレのキレが共存し、濃厚でありながら後味は驚くほど軽い。辛さは“旨辛”の中庸で、舌にじんわりと熱を残しながらも優しいバランス。細ストレートの麺は、しなやかでコシがある。スープをよく絡め、啜るたびにごまの香りがふっと鼻に抜ける。その香ばしさに心がほどけていく。

主役の排骨は、揚げた豚ばら肉。カリッとした衣の下には、しっとりと柔らかな肉。カレー風味の下味がついており、スープの芝麻醤と重なり合うことで、なんとも言えぬ深みを生む。スープを一口、麺を一口、排骨を一噛み——この繰り返しが止まらない。

そして、“はしご”に通う者にとって欠かせないのが、白いご飯と黄色い漬物の小皿。この組み合わせがあってこそ、だんだんめんは完成する。スープを吸った排骨をご飯にのせて頬張れば、香ばしさと旨味が一気に花開く。漬物の酸味が後味を整え、またレンゲが伸びる。

さらに「焼売」。蒸籠から立ちのぼる湯気の中に、肉の旨味がぎゅっと詰まっている。ふっくらとした生地の中から肉汁がじわっと滲み出し、だんだんめんの合間に食べれば、幸福のボリュームが一段上がる。

何度食べても飽きない。疲れた夜、心が乾いた昼、この一杯がそっと救ってくれる。清湯の優しさと芝麻醤の余韻が、今日もまた心を静かに整えてくれた。“だんだんめん”は、銀座の中で最も穏やかな“逃げ場”だ。ご馳走様でした。

支那麺 はしご 銀座四丁目店
03-3547-6079
東京都中央区銀座4-13-1
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13107497/

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