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2025.06.28 夜

薪火がつなぐ、鳥取の記憶@オオシマ

イタリアン・ピザ

大阪市

10000円〜29999円

★★★★☆

大阪・福島の路地裏、薪の香りに導かれて辿り着くのは、薪火イタリアン『オオシマ』。店名はシェフの名字に由来し、幼少期を鳥取・大山で過ごした彼が、囲炉裏や薪ストーブに囲まれて育った記憶を皿に投影した一軒。幼い頃から親しんできたこの火だからこそ、薪火と自然に向き合い、自在に操る術を体得している。ここは、自然の火と故郷の味をつなぐイタリアン。薪の香りが入口から五感を優しく包み、旅の始まりを告げる。

まずは「琴浦サーモン」の身とチップにした皮。湧水育ちのサーモンを軽く燻し、香ばしく焼いた生地にのせたもので、脂の甘みとパリッとした皮の食感が薪火の余韻でつながり、大山の澄んだ空気を舌に届ける。そして「大山鶏レバー」は枝豆の緑に包まれ、濃厚さと爽やかさが二層構造のように広がり、皿全体で大山の景色を静かに描き出す。

続いて、夏輝というブランド「牡蠣」。鳥取が誇る牡蠣を薪焼きにしてふんわり香ばしく仕立て、カリフラワーソースの優しさと、郷土料理の豆腐ちくわのしみじみした旨み、アオサのチップとレモン泡が磯の香りを軽やかに演出。海の深みを感じる海景そのもの。

井尻農園の「フルーツトマト」と地元の甲烏賊のカプレーゼ風の仕立て。薪火で甘味を引き出したトマトと、柔らかい甲イカが出会い、赤紫蘇ジュレとバジルソースが和の香りをそっと重ねる。夏の里山と潮風が交差する一皿だ。

次は、香草やスパイスを効かせた「月の輪熊」のミンチをソーセージ風に整えた、サルシッチャ仕立て。ズッキーニの花やらっきょうピクルスが彩り、ゴルゴンゾーラソースがまろやかに包み込む。味わいはしっかり、臭みはなし。

「フォアグラ」をトレビスで包んだフリットは、薪の香りを纏わせて外はカリッと中はとろり。上には蓮根チップをあしらい、トマトピューレに生クリームを混ぜたソースとバルサミコ酢の酸味が甘さと香ばしさのバランスを取る。上品でいて印象的な仕上がり。

「白つぶ貝」と青菜を使ったパスタでは、なめこやモロヘイヤ、貝肝を絡めた濃厚な麺にバジルの清涼感が響き、薪火の香りがアクセント。豊潤さと軽やかさが共存し、クセになる一皿。

「鯖」のフリットをパートフィローで包み、「きたあかり」とハーブを添えた温かいひと皿。サクッと香ばしい衣に魚の旨味が溶け込み、ほくほくの芋とともに口の中で一体化する。家庭的な安心感とレストランらしい構成美が交差するその姿は、いわば“鯖じゃが”。懐かしさと新しさが同居する、優しい料理。

メインの「オレイン55」の薪焼きは、赤身の力強さと脂のキレが際立ち、ひと噛みごとに肉そのものの旨みがじんわりと広がる。「オレイン55」とは、オレイン酸の含有率が55%以上という基準を満たす鳥取和牛の称号であり、その脂はしつこさがなく、驚くほど澄んだ甘みを持つ。ネギ炭の香ばしさとスイートコーンピュレ、鹿肉の赤ワインソースが寄り添い、重厚ながらも後味は軽やか。余韻まできれいに抜ける、滋味深いひと皿。

冷たい一皿として登場したのは「スイカとキャビアの冷製ガスパチョ」。甘みのあるスイカのソースをまとった細打ちのパスタに、キャビアの塩気とクリームチーズのコクが重なり、味のコントラストが鮮やかに決まる。仕上げのミントが爽快感を添え、モヒートを思わせる余韻とともに、口内を一気にリフレッシュしてくれる。

デザートの「メロンジェラートと抹茶ババロア」は、メロンの果肉と泡、砂丘を思わせるクッキーとキャラメルのクランブルで立体的な風景を皿に再現。視覚も味覚も鳥取への旅心を刺激する。

最後は「自家焙煎コーヒーのティラミス風」。コーヒーグラニテやチップ、ココアメレンゲとともに層を構成した上品な締めくくり。甘さ控えめで、最後のひと匙まで飽きずに、余韻を静かに閉じる。

『オオシマ』で味わうのは、薪と郷土が奏でる五感の旅。その一皿一皿に、鳥取・大山と海・山の記憶が自然に宿り、じんわりと体に沁み込む。また訪れたくなる、静かで深い余韻のある食体験だった。ご馳走様です。

オオシマ
050-5456-5277
大阪府大阪市福島区福島3-14-9
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270108/27114526/

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