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2025.06.28 昼

この一杯のすだちそばが、夏の記憶になる@まき埜

そば

大阪市

1000円〜2999円

★★★★☆

灼熱の大阪・福島。滲む汗、じりじりと焼けるアスファルト、その先に伸びる行列。まるで修行僧のような顔つきで待つこと1時間超、ようやく辿り着いたのが大阪屈指の蕎麦屋『まき埜』。その一歩が、まさかこれほどまでに“涼”への扉だったとは。

店主は名店「なにわ翁」で修行を積んだ実力派。店内に一歩入れば、白木と静けさが支配する凛とした空間。心なしか汗も引き、そして目の前に供されたのは、この店の代名詞とも言える「すだちそば」。

まずは視覚で、いきなりクールダウン。びっしりと敷き詰められたすだちの輪切りが、一面に広がるその姿は、まるで冷涼な渓流のよう。そして、すだちの柑橘がふわりと鼻をくすぐった瞬間、先ほどまでの暑さはまるで嘘だったかのように霧散する。

啜れば、冷えた出汁が喉を駆け下り、体の芯までスッと冷やしてくれる。昆布と鰹の出汁は濁りのない澄み切った旨味で、すだちの酸味と手を取り合うようにして、じんわりと舌に広がる。苦味やエグみは一切なく、ただただ爽やか。思わず「これ飲み物じゃないの?」と錯覚してしまうほど、完飲まで一直線だ。

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主役の蕎麦も見事。細打ちでありながらしっかりとコシがあり、ざらつきのある肌が出汁を程よく絡めとる。口の中で小気味よく踊り、鼻から抜ける香り、喉越し、余韻まで一切の無駄がない。この一杯に出会うために、汗だくの行列もまた、ひとつの儀式だったのかも。暑さと引き換えに得た“涼の極致”。それが、まき埜の「すだちそば」。夏の福島で、こんなにも爽快な一杯に出会えるとは——またあの暑さに挑む価値がある、と確信しました。ご馳走様です。

まき埜
050-5595-6923
大阪府大阪市福島区福島6-11-13 シャトー西梅田 1F
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270108/27002682/

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