予約も困難なら、訪問すること自体が困難なお店が岐阜にあった。
店の名前は『Une Fleur (ユンヌフルール)』、岐阜県の高山市にレストランを構えます。
ただでさえ東京からのアクセスは難易度が高いが、その中心部から車で1時間ほどの距離にある。ちなみに、我々は名古屋市内を9時に出発して、2時間以上のかけて到着しております。山奥を走った別荘地にあるが、少なくともこの季節には全く人影はない。本当にここにフランス料理があるのだろうか、、、
そんな不安に駆られるでしょうが、森の中のコテージの1つがレストランなので安心してください。笑 シェフは猟銃をかかえた頑固な大男を想像するかもしれませんが、実際は小柄で陽気な女性シェフの伊藤仁美シェフが迎えてくれます。
広尾のフレンチ「ひらまつ」で腕を磨き、その後本場パリ店にて料理長まで務めた本格派。それでいて、まだまだ15%の完成度と語るが、東京のグランメゾンにいても不思議ではない。この大きすぎるギャップもまた同店の魅力になっております。
料理は季節の蟹を使ったフルコースを頂きます。クラシックなフレンチの技法の中に、アイデアが詰め込まれたコースになっております。特徴としては、バターなどの動物性の脂質も多様しつつも、食後感が軽いのにも驚かされます。さぁ、それでは、料理のラインナップをご覧ください。
「自家製パン」
黒胡麻、ベーコン、ほうれん草、アオサなど様々な食材を練り込んだパンからスタート。冒頭からついつい食べ過ぎが危険なアイテムが登場です。せっかくここまで来たので最後まで辿り着かなければ。。。笑
「蟹のムース」
生クリームと蟹の身を合わせた濃厚なムースからスタート。卵の殻を器にした可愛らしさも魅力。蟹味噌にはバターのエッセンスもあり、動物系の掛け算が更なる濃厚さを作ります。ココナッツのニュアンスも面白い。シャンパンにぴったりなスターター。
「蟹のタルト」
蟹、豚足、アボカドのペーストの組み合わせにパイ生地を合わせた料理。豚足はもちろんだが、こちらにもバターやグリビッシュソースの動物系の旨味が味を強める。異質な組み合わせながら、全体を見事にまとめ上げます。マスタードが好印象。
「蟹のリゾット」
香箱蟹を器に、和製ポルチーニと呼ばれるヤマドリタケモドキのコンフィを合わせる。
「蟹のブイヤベース」
ここまで使った蟹の殻を全部使って出汁を抽出したブイヤベース。コンソメみたいにとったそうで、美しい透明感のあるシルエットに仕上がります。逆にさっぱりしている部分の補完として、アイオリソースを上手に使っております。スープの中にはノドグロや帆立も。
「蟹と白子」
焦がしバターのソースを含めて香ばしさを最大の調味料に。ヴァンブランソースを添えて。
「蟹と蟹味噌」
フォアグラのテリーヌやキャビアが使われるが、全体的に軽やかな印象のお皿。味わいも濃厚だが、やはり不思議な軽さを作ります。
「洋梨とラズベリーのシャーベット」
最後は、ハーブティーで締めるのだが、ここにも”ならでは”の演出がある。自生するハーブを庭でシェフ自ら摘んで提供してくれるのだ。
ちなみに、新規の顧客は昨年1年で1組だけだったと聞く。予約も訪問もハードルの高さはピカイチです。笑 訪問最難関フレンチ、岐阜で見つかりました。
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Une Fleur
岐阜県高山市荘川町野々俣1238-136
https://tabelog.com/gifu/A2102/A210205/21019987/