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2020.03.19 夜

重ねたも色褪せぬ、魔法のようなイタリアン。@フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ

イタリアン・ピザ

軽井沢・佐久

30000円〜49999円

★★★★★

軽井沢にあるイタリアン『フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ』中目黒にあったこの伝説のリストランテが軽井沢に場所を移したのはもう9年前のこと。東京で9年、軽井沢でも9年と同じだけの時を重ねただけあって、もう軽井沢のお店としての認識のほうが強まってきております。軽井沢という地にあって全国から人が集まるのは、店を預かる小林シェフの人柄と彼の作る料理に魅了されたということ。その証拠に、彼の料理を味わった中目黒時代のお客様の多くは、場所を変えてもなお通い続けているそうです。

薪ストーブが置かれた個室空間には暖かさと温もりがあり、軽井沢の冬の寒さから心も体も癒してくれます。窓の外の雪化粧の残りは美しく映え、ゆらゆらと揺れるハンモックはほっこりとした気分を提供してくれます。用意されたメニューに目を落とすと、手書きのイタリア語がつらつら。さっぱり読めませんが、メニューに「味」があることだけはわかります。笑 総じてこういう「味」のある文字を書くシェフの料理は美味いものです。

店名はなかなか一度では覚えられないですが、料理の1つ1つは鮮烈に記憶に残っております。まず最初に驚かされたのは料理ではなく、乾杯にと用意されたスプマンテ。いや、もはや料理と呼んでも差し支えないでしょう。

油断していて細かい説明は失念してしまったが、飲み物に手を加えてきたことに単純に驚きました。バニラビーンズがきかせた甘い風味がセロトニンを放出させてくれます。まさか、お酒を料理してくるとは!こういった独創性は料理にももちろん反映され、唯一無二の料理を完成させております。

そんな料理のラインナップはこちら。
「海老(スキャンピ)」イタリアのティレニア海産の海老。塩とオリーブオイルでしっとりと焼き上げております。これに重ねるのが、イタリア産のウォッシュチーズのタレッジョを熟成して、細かいパン粉で包み油で揚げたもの。油と塩気の足し算がワインとの抜群の相性を作り上げます。それでいてしつこくならないのは、これとバランスを取るように優しい苦味のあるイタリア野菜や、食感のあるシチリア産のピスタチオの存在。計算された一皿に一同唸らされます。

「エスカルゴ」酢漬けと塩漬けにしたオリーブオイルと煮込んだエスカルゴ。これ自身でも食感と旨味の連動感が楽しめるが、シェフの料理はこれでは終わらない。白アスパラガスの細切りをローストして香ばしさを作り、アーティチョークが苦味を作り、ペコリーノ・サルド・フレスコが濃厚なコクを作り上げます。海老の料理と同様で塩気やオリーブオイルはやはり白ワインとの相性がいい。

「スープ」様々な食材がピュレ状になって一皿を完成させております。グアンチャーレ、ニンニク、エシャレット、野生のアスパラガスなどなど。さらには、ホロホロ鳥の卵白、イタリア産の白い蕪、山羊のミルクなどと重ねていきます。ピュレの粗細もコントロールしているようで、味わいにコントラストがあるのが面白い。おかげで今回のスープはどこを切り取っても山羊のミルクの香りが捕まるようになっております。アクセントには、胸腺部分をムニエル風に仕上げた仔羊が活躍。野生の味わいを堪能できる一皿に仕上がっております。

「鴨のフォアグラ」最も感動した料理の1つ。フォアグラを塩で調味し、表面だけをカリッと強火で焼き上げたもの。これに重ねるは、ホロホロ鶏の卵黄、黒米、生のグリーンピース、野生のジロール茸、赤カブ、無花果。これだけの食材の組み合わせは往々にして個性を相殺していくが、それぞれの素材が立ってくるから不思議です。余韻が代わる代わる変化していきつつ、全てがフォアグラと調和していくのです。これこそが小林シェフの凄さといっていいでしょう。拍手。

「パスタ」タリアテッレをラディッキオで包むとは、、、もはや天才的思考に言葉が出ません。

パスタの具材としては、ディアフランマという牛の横隔膜を焼き上げたものが主役を務めます。そして、タリアテッレと歩調を合わせたような同じ幅のウイキョウの薄切りが並走します。これをホロホロ鳥の卵黄が全体を覆い、さらにはラディッキオの苦味が全体にアクセントを作ります。ソースはサフランの華やかな色に、野菜スープの旨味、フォンティーナチーズでコクを追加されております。様々なパスタのエッセンスがあるものの、結果として唯一無二のパスタが完成しております。

「鳩」鳩の、胸肉、もも肉、ヒレ肉、内臓達の共演。これまでと同じように、様々な食材が鳩の花を添えるために躍動します。白玉葱をはじめとした野菜、ジェローネ茸をはじめとしたキノコ、黒や緑のオリーブ、ピスタチオや胡桃などのナッツ類などなど。さらには、鳩はスフォルマートに形を変えて、砂肝、心臓、レバーなどが暗躍しております。鳩という食材をここまで分解し、さらに様々な食材と掛け算していく。これが数式なら嫌気をさす難問であろうが、口の中ではシンプルに美味いという答えにたどり着きます。

「チーズ」冒頭でスプマンテを料理にした驚きを伝えたが、小林シェフの前ではチーズも料理としての位置付けを担う。その前にチーズそのものを作り上げていることに驚く。牛、羊、山羊の3種類のミルクで作ったチーズに白カビをつけて熟成をかけたそうだ。これにロマネスコやキノコ、パンチェッタなどが添えられます。そして、仕上げにはケシの実を炒ったものが重ねております。チーズはワインと合わせるのは常識だが、ここのチーズはその常識をさらに確信させます。

「ドルチェ」栗をラム酒で煮込んだものがベースで、オレンジの身とマスカルポーネチーズと合わせてババロアにしたもの。上にはオレンジの皮をカルヴァドスと蜂蜜で煮込み、カラメル状にしたものが添えられます。鳩と同様に、余すことなくオレンジを使いこなし新食感のデザートを作り上げております。濃厚な味わいがデザートワインとばっちりマリアージュしてくれます。

「小菓子」焼き菓子とチョコレート。前者にはゴルゴンゾーラが使われ、その抜群の塩気が紅茶やコーヒーを求めさせません。チョコレートもマルサラに漬け込むなど、やはりお酒の存在をチラつかせてきます。笑 普段はドルチェは好んで食べないが、こんなドルチェなら一生食べ続けたいものですね。最高の時間をありがとうございました。

フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ
0267-41-0612
長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-689
https://tabelog.com/nagano/A2003/A200301/20011920/

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