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2025.07.15 昼

歴史が生んだ技と、漁港の力。鮮度で語る寿司@末廣鮨

寿司

静岡市(静岡・清水)

10000円〜29999円

★★★★☆

1966年創業、静岡・清水の名店『末廣鮨』。寿司界に革新をもたらした「はがし」の発祥の店として、その名を歴史に刻む一軒だ。看板を飾るのは世界の海を渡る南鮪、この日は遠くケープタウンから。そしてその横には、駿河湾や御前崎、浜名湖といった地場の魚が並ぶ。ここには熟成という技巧はなく、いかった魚を潔く握る――港町らしい、鮮度を信じるストレートな寿司がここにある。

幕開けは南鮪の腹身を厚切りにした一貫。圧倒的な厚みと脂の甘みが舌を覆い、初手から矜持を叩きつける。そして途中で挟まる「とろ巻き」。脂のコクを海苔の香りが引き締め、シャリと一体となってほどける。

そして真打、「はがし」。これは本鮪の脳天から背の部位で、筋の強いところを柵にせず、トロ特有の強くて厚い筋を一枚ずつ丁寧にはがし取る。筋を取り除いたその身は、脂をしっかり湛えながらも軽やかで、舌に吸い付くような柔らかさ。寿司界に革新をもたらした技法を、目の前で体感する贅沢だ。

この日は「おまかせ」ではなく、自分の好みで組み立てたラインナップ。握りを中心に、ひたすら魚の魅力を追いかける時間となった

ネタは静岡の海の恵みが次々と舞台に上がる。「平目」は柚子塩を纏い、白身の淡さに爽やかな香りを添える。

「鯵」は釣り物らしい張りと透明感を備え、薬味の香りが旨味を際立たせる。

「鰹」は御前崎から、野趣としっとり感を絶妙なバランスで調和させている。

「鯛」はぶりんぶりんと弾む歯応えが心地よく、噛むたびに清らかな甘みが広がる。

「槍烏賊」は厚切りでねっとりと甘く、柚子塩が後味をキリリと整える。

「巻海老」は浜名湖産、火入れの技でしっとりと仕上げられ、甘みと香ばしさが重なる。

「煮蛤」はツメのやさしい甘みと、わさびの辛味が舌の上でせめぎ合う。

「鮑」は三陸から届き、しっかりとした歯応えと深みのある旨味が酒を誘う。

「小肌」は酸味と旨味の緻密なバランスが、口の中で美しい調和を描く。

そして「雲丹」は北海道産、濃厚な甘みと海そのものの香りが舌を支配する。

終盤は「穴子」。柚子塩を纏った一貫はふんわりと軽やかに、

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ツメと海苔を巻いた一貫は甘みと香ばしさが渾然一体。

最後は「干瓢」や

「玉子」で幕を閉じる。

古典を大切にした締め方に、老舗の矜持がにじむ。

総じて、『末廣鮨』は“鮮度を握る寿司”だ。世界を旅した南鮪と、静岡の海の恵み。その両輪を、余計な装飾なく輝かせる潔さ。そして寿司界に残した革新「はがし」を、今もなお体現する存在感。この日は大将こそ不在だったが、その矜持は確かにカウンターに息づいていた。港町・清水が誇る物語が、ここにはある。ご馳走様でした。

末廣鮨
054-366-6083
静岡県静岡市清水区江尻東2-5-28
https://tabelog.com/shizuoka/A2201/A220102/22000057/

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