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2023.11.29 夜

科学的でありながら、野生的。@プレゼンテ スギ

イタリアン・ピザ

成田・佐倉・佐原

10000円〜29999円

★★★★★

千葉県佐倉市郊外にあるレストラン『プレゼンテ スギ (PRESENTE Sugi)』へ。

都内から車で1時間以上の道のりという立地に関わらず、一軒家レストランに空席ができることはない。シェフを務めるのは、杉岡憲敏氏。日々アップデートした”PRESENTE=現在”の杉岡料理が楽しめます。千葉の豊かな食材を駆使した、唯一無二の料理を求めて全国から食通が押し寄せます。

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料理のアプローチは、科学的でありながら原始的というか、野生的。料理はいわゆるガストロバックなどを多用するモダンガストロノミーのジャンルになるかもしれない。一時期、多くのイノーベイティブレストランでは、モダンなアプローチ自体が目的となって本質を失った料理が目立ったが、杉岡料理はこれと趣を異にしたものなのだ。素材を素材よりも素材にするために、さまざまな技術を駆使しているのです。料理の内容を見てもらえれば、きっとその意味が伝わることでしょう。

こうして、自らも料理ととことん向き合うが、同じレベルで生産者ともコミュニケーションをとる。結果として、高い要求にも応えた千葉の食材達がブランドしていく。つまりは、レストランの価値だけでなく、千葉の価値そのものを向上させているのだ。千葉出身の身としては、感謝の念を抱かずにはいられません。笑

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それでは、向き合いに向き合った25にも及ぶ圧巻のコースをご覧ください。超長文となってしまいましたが、シェフが料理に込めた思いからすれば短い文章です。お付き合いくださいませ。笑

「シェフからの最初の贈り物~定点 トマト飴」
クリスマスを彷彿させるようなシルエットで登場。りんご飴にテンションの上がった自身の幼少期を思い出したり、子供との時間の中で見つけたものばかりで構成されます。生トマトを飴でコーティングしたもので、口の中で弾けてトマト本来の甘みを堪能させてくれます。

「時間.温度.水分」
タイトルが表現するのはマッシュルームのバリエーション。時間は、フレッシュなものと発酵したペーストのものを重ねたもの。温度は、ソテーしてぷりぷりの食感を引き出す。水分は、水分を抜いてシートにしたもの。これによって凝縮感と食感を生み出す。前述の通り、1つの食材に向き合った結果、さまざまな魅力を引き出すのに至っております。

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「大スズメバチのサナギのフリット」
メニュー外の料理だが、アイデンティティを十分に感じる一品。豊かな自然そのものが彼の仕入れ先なので、市場で揃わない料理をやりたいそうだ。昆虫食は世界的に注目されたものだが、そんな大袈裟なものに捉えていない印象。味は塩のみとシンプルに素材の味を尊重し、むしろそこに山の香を纏わせるなど、より素材のイメージを忠実に再現しております。ちなみに、味はなかなか独特の香りが特徴。

「伊勢海老のタルト」
千葉県産の伊勢海老。足の肉などを使いたいので、800gオーバーの大きいものだけを使っているそうだ。塩麹で和えたもので、食感や香りや甘みを十分に引き出しております。殻はパウダー状にして練り込んでみたり、味噌も香味野菜と煮詰めてシートにしてみたりと、小さなタルトに伊勢海老をぎゅっと閉じ込めます。

「仔羊と千葉」
手入れに1ヶ月もかけたという仔羊。ドライエイジングをかけたそのお姿はまるで油絵のよう。

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これソテーした料理だが、味の強さに驚かれます。パクチーシードとやまみつばの自家製魚醤漬けと共に。八街市産のマッシュポテトも付け合わせレベルとは思えません。

「本日の焼き立てパン」
焼き立てほやほやのフォカッチャ。千葉県にはバターを作っている人がいないと、自家製の発酵バターを完成させております。笑 香ばしさを加えたパルミジャーノとトリュフの香りがいいアクセント。数合わせのパンなどでなく、きっちり1つの料理としての提案になっております。ちなみに、トリュフは神奈川県産。国産があったとは知らなかった。

「天然鰻」
過去、千葉県を流れる利根川は鰻の産地として有名。その名残で鰻屋は多く残るが、実際には養殖鰻を使う店が多い。だが、利根川水系の河川である長門川にはまだ生息しているらしい。これを2日寝かせて旨味を引き出し、抜けた水分を補完するために肝ソースを塗りながら焼き上げるそうだ。結果、驚くほどカリカリでとろとろの鰻を完成させております。

「Sugiのブラックサンダー」
またまたシェフの子供心を発揮。あのチョコレート菓子であるブラックサンダーをSugi風に仕上げます。カカオの香りだけでなく、チョコレートのような油分をフォアグラに負わせてよりリッチなものに。さらに、テンションが上がる1つの要因である限定品っぽく、秋限定の野生種の栗を使用しています。

「鱧」
日本料理の鱧料理は、湯引きなどをするのが一般的。これは鱧の香りや旨みを無駄にしてると、スーパー鱧を作り出します。煮込んだスープをガストロバックして素材に戻し、鱧以上の鱧を作り出します。鱧カツのようなアウトプットだが、この中にはこれでもかってほどの鱧が閉じ込められます。上にはマカデミアナッツのすりおろしを散らして香ばしさを追加。

「再生」
捨てずに蘇らせる。そんな現代的なアプローチの対象となるのはジビエの血液。家畜を無駄なく利用する食品としてヨーロッパでは定番のブータンノアールの出番。千葉県は害獣被害も多いエリアなので、これを上手に再生させております。ジビエが走り回った大地を表現するのにビーツを使用するのもお見事。コンセプチュアルな料理に仕上がります。

「GV鰹」
アラとベリーをガストロバックした鰹。改めてではありますが、全体を通してこの手法は多用されるが、素材の価値を高めるシェフにピッタリなアプローチ。器とビーツのピクルと、そのビジュアルの美しさも圧巻。

「蕎麦」
ブランデーを使った1年熟成の自家製カラスミを使った蕎麦。これも知らなかったが、千葉県にも蕎麦の在来種があるそうで、これを使ったもの。シェフは、千葉県の食材ハンターなのですか!笑

「アイスキャンディー」
口直しの一品にも遊び心を。梨を発酵したキャンデー。

「High & Low ステーキ」
本日、最も印象に残った料理の1つ。タイトルは高温と低温の意味だが、その火入れの結果が超絶の柔らかさへと導く。さらには水分がたっぷりと残ったしっとりとした食感で、これがそのまま旨味につながっております。これは新食感!

「杉寿司」
だいぶ遅れてお伝えしますが、杉岡シェフはイタリアンのご出身。イタリアには米を使ったサラダがありますが、これを寿司で表現しております。炊きたてのコシヒカリにドレッシングを和えて作ったシャリに、ガストロバックした縞鯵を重ねます。アクセントに、1つはキャビアを、1つは縞鯵の肝ソースを。

「人参の向こう側」
地元の農家に作ってもらっているという紫人参。9時間もかけて水分抜いたそうだが、その結果、焼き芋の香りに紛うほど甘い香りに。確かにこの料理は、手間暇かけた人参の向こう側。

「クロワッサン」
作りたて焼きたて。香ばしさとバターの芳醇な香りがたっぷりのクロワッサン。

「トラフグのフラン」
スギのスペシャリテの1つ。トラフグのあらをガストロバックして、味の濃いフグを完成。発酵バターでソテーしてさらに濃厚なものに。さらには、ガストロバックに使った河豚スープを煮詰めて卵と蒸し固めております。国産のトリュフも重ねますが、もうフランだけで十分なもので、スペシャリテにふさわしい一品。

「Sugi畑をお皿に乗せて」
農家の畑仕事も手伝っているそうで、自ら生産にも携わった野菜たちが並ぶ。ただ、これも素材を素材として出すだけでなく、素材の価値をさらに高める仕事を。ガストロバックで、レモン水や昆布水を注入しているのだ。端材も意識的にここで使い切り、素材へのリスペクトも完璧に表現できております。

「本日のパスタ」
最後にようやくイタリアンらしい料理の登場です。シチリアの伝統的なパスタであるトラパネーゼ。アーモンドとバジルをベースにするのが一般的だが、これを千葉風にアレンジ。千葉県のトマトソースとミントで作った泡でさっぱり。ちなみに、自分で釣ったというスズキも参加しております。

「かき氷」
かき氷と、柿氷のダブルミーニング。一時期話題になった地層のチバニアンを意識したという一品で、さまざまな層を重ねて作ったかき氷。

「エアアイス」
泡のアイスだからエアと名付けられたアイス。

「食べられなそうで食べられる」
確かに。中央のモアイは食べられなそうで食べられる。

「食べられないけど食べられそう」
確かに。球体は飴玉のようだが実は石鹸で、食べられないけど食べられそう。

プレゼンテ スギ
043-371-1069
千葉県佐倉市白銀2-3-6
https://tabelog.com/chiba/A1204/A120402/12038574/

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