11月20日、麻布十番の地に鮨店がオープンした。
その期待度は、新築のビルの前に置かれた祝い花が証明している。ニューヨークに移ったすし匠の中澤氏、鮨さいとう、鮨あらい、そして鮪の卸のやま幸など、日本を代表する鮨業界の面々からオープンを祝福されております。屋号は『鮨めい乃』、店の主人は「すし匠」「鮨あらい」で腕を磨いた幸後綿衣(めい)氏だ。
新店舗ながら、彼女はすでに大将としての素地は出来上がっている。鮨あらいでは個室を任され、仕入れやシャリなども自由度高く、しっかり自らの個性を磨き上げております。しかも、それが舌の肥えた鮨あらいの顧客とくれば、ある意味で完全な予行練習が終了していると言っていいでしょう。実際に予約もすでに半年ほど埋まっているのだとか。笑
空間作りにも彼女の個性が光る。鮨の名店御用達の板井工務店によるものだが、ある意味で板井氏っぽくないデザイン。彼女の意向が強く反映されて、スタイリッシュながらどこか柔らかい、彼女の雰囲気そのままのお店が出来上がっております。特に印象的だったのが、圧巻の縦置きのワインセラーで、これがワイン好きの心をくすぐります。フランス留学をしてソムリエの資格をとったという彼女らしい。
前述の通り、鮨においてはすでに完成度が高い。シャリは米酢を中心の柔らかいもので、ネタの素材を尊重したものに。炊き具合も多少柔らかさがあるのも特徴。素材そのものの旨味をきっちり主役にしているので、しっかり美味しいのに全く食べ疲れしないのが最大の魅力だろう。
最も印象的だったのが、車海老。鮨あらい時代にすでにスペシャリテとして完成していた一品でもございます。正直な話、好みの問題だが、車海老に対してあまりポジティブな印象がない。どうしても火が入りすぎるとパサついてしまい、それが淡白なイメージにも繋がっていきます。だが、めい乃ではレアめの火入れで、海老本来の甘みをしっかりと感じさせ、さらにこれを強めるために車海老自体の出汁を駆使しているのだ。スペシャリテにふさわしい素晴らしい逸品。
つまみのラインナップ。
「せり」秋田より。
「蛸」佐島より。皮めの柔らかさと弾力が絶妙。
「牡丹海老」北海道古平町より。
「鰹」長崎より。脂のたっぷりののった代物。皮め炙ったアクセントが最高。
「唐墨茶碗蒸し」塩を強くあてていないのか、
握りのラインナップ。
「かわはぎ」肝も含めて非常にクリアな味わい。品すらも感じます。
「墨烏賊」
「白子」軍艦にて。海苔を使い分けるほどのこだわり。
「青柳」根室より。
「赤身」
「大トロ」問答無用の旨味。いい意味で全体を通して強い旨味はこれくらい。
「小肌」酸のニュアンスが絶妙。
「おはぎ」すし匠譲り。粗ネギのカットに特徴。それぞれに個性があって面白い。
「いくら」やはり優しいアウトプット。
「雲丹」温度だけやや気になったが、クリアな旨味が素晴らしい。
「穴子」火入れが強めで香ばしさも良い調味料に。
「ネギトロ巻き」
「干瓢巻き」
「玉」栗とダージリンなども入れて、完全なデザートに。
「しじみ汁」飲兵衛の気持ちがわかってるねぇ、めいちゃん。笑
—
鮨 めい乃
東京都港区麻布十番1-6-1 THE V-CITY 麻布十番 PLACE 6F
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13292357/