パティシエが作るフルコース、それが『Yama』のアイデンティティーだ。
前回も同じフレーズから始めたが、これが本当にすごい。ミシュランのジャンルの中にはアシェットデセールは存在しないが、いつかエントリーされるならきっとそれはyamaの力でしょう。このレベルの料理を掲載することは、むしろミシュラン側にとっての誉だ。と、感じてしまうほどの感動的な食体験が待っております。先般いただいた熟成栗への感動が強く、その季節ばかりを狙っていたが、今回は初めて「桃」を主役にしたコースをいただきます。
桃が主役ながら、最初の感動を届けてくれたのはトウモロコシ。「トウモロコシの三重奏」と名付けた一品に度肝抜かれます。
パティシエのお父上が自家栽培で作ったもの。ビジネス的に始めたものではなく、ここだけのために栽培しているもの。つまり、生産量は少ないので一本一本に目が届き、こだわりを尽くしたものが生まれる。そのこだわり、この子にしてこの親あり。すっきりと甘味の強い素材が完成しております。これをアイスやソースにテクスチャーを変えて、口の中にハーモニーを作り出します。ここまではありがちだが、最後がやばい。熟成した胡桃オイルをかけるのだが、この香ばしさが、焼きとうもろこしよりも焼きとうもろこしを作り出します。美味すぎる、、、
またまた、桃以外の話になるが、白胡麻のアイスもすごい。以前も頂いたが、自給率がたったの0.1%の国産の白胡麻を使ったアイス。香りの豊さや味の強さもさることながら、揚げ物とは思えぬほどの食後感に驚かされます。
さぁ、そろそろ桃に目を移してまいりましょう。
「ラベンダーのアイスと桃のソース」
これも驚いた。桃はあくまでソースとして登場するのだが、ラベンダーのアイスの風味の強さが圧巻。余韻が1つも2つも続き、ドリンクの後まで続いていきます。実は、花の咲いたものでなくつぼみを使っているのだとか。トライアンドエラーがエグくないですか?笑
「桃のミキュイ」
ミキュイとは、半分火が通った半生というような意味ですが、これを桃でやるのはびっくり。桃で火入れを語るシェフはきっと勝俣さんしかいない。笑
「桃のベニエ」
ベニエとは、フランス発祥のお菓子のことですが、もはやフランス料理のメインディッシュと言われても違和感がない。パティシエが作るフルコースの主役にふさわしい。桃を揚げてるわけだが、ミキュイと違って香りはどうしても分散してしまうもの。そこを梅干しのジャムが塩味や酸味を足して、マンゴーやパッションフルーツはフルールらしい酸味を足します。きっと温かい桃の食べ方では、これが最上でしょう。
「Kurenai」
X JAPANじゃないですよ。笑 でも彼らが好きそうな薔薇が主役の1つでございます。薔薇の花をたっぷり重ねてその香りを楽しませます。桃はソルベの形で登場。
その他のコースメニュー。
「豆のコンポート」
豆の香りをシンプルに。これでビールは飲めないほど上品です。笑
「カプレーゼ」
定番の一品。バジルのブランマンジェ、トマトのジュレ、天草のオリーブオイル、トマトのグラニテ。罪悪感ゼロのデザート。
「カボス餅」
日本料理の柚子釜のような提供。味の前にカボスのくり抜き方の繊細さに感動。ぎりぎりを攻めた薄さっぷりなのだ。勝俣イズムがここにもしっかり隠されます。メロンのグラニテに、実山椒の刺激を合わせます。
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1回目の訪問
「震えるほどの感動。圧巻の栗ご飯。@Yama」
https://blog.33inc.jp/2021/11/28/yama/
2回目の訪問
「お菓子なレストラン、白金へ。@Yama」
https://blog.33inc.jp/2023/02/26/yama-3/
Yama
東京都港区白金6-16-41 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131602/13279936/