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2023.06.30 昼

料理で島原を語る。これぞローカルガストロノミー。@pesceco

フレンチ

雲仙・島原

30000円〜49999円

★★★★☆

ローカルガストロノミー、これは最も注目されるグルメのトレンドワードの1つだ。

地域の風土や歴史や文化を、料理として表現する試みのこと。地産地消から更に1つ進んだ考え方と言っていいでしょう。つまり、そこに生きた人々の歴史がある限り、どこのエリアにもチャンスがある、地方創生のキーコンテンツと言っても大袈裟ではない。今回は長崎県の島原市を舞台にしたローカルガストロノミーの店を紹介したい。島原の海を目の前にした一軒家レストラン『pesceco(ぺシコ)』だ。

ローカルガストロノミーを語る上では、どれだけの説得力があるかが大切だ。地元島原に生まれ、鮮魚店を営む実家に育ったシェフは、ストーリーの語り手として十分な資格を持つ。その真摯な言葉や温度のある料理が胸を打つのだ。シェフの井上捻浩氏が標榜するのは「里浜ガストロノミー」。始まりの一皿からさっそく、彼が育った浜辺の散歩に連れていってくれます。

「浜辺の散歩」
アミューズの1つ目は、砂浜のプレートの上に、砂浜に見立てたスナックが登場。片口イワシの塩辛をさつまいもに乗せて食べる文化があったそうですが、シェフの懐かしい記憶を再現した料理。煮干しの塩気とさつま芋の甘味を上手に握手させております。

2つ目は、シェフの友人という地元の漁師がとった紫雲丹を焼き立てのパイの上に重ねます。雲丹のねっとりとした甘味の強さに驚きます。3つ目は、一年ものの岩牡蠣。海のミルクなんて表現されますが、陸のミルクであるジャージー牛も使われる。島原の海と陸のミルクのマリアージュでございます。昆布水で旨味を、胡麻油で風味を参加させております。

「波紋のように」
いわゆる魚介のサラダ。昆布水の泡を全体像を隠しますが、まるで神秘的な海の中を探し回るようで楽しい。今朝取れたというオコゼが主役を務め、いかった食感が脇役達との調和を図る。炭火の香、オコゼの肝、魚醤などバイプレイヤーたちが大活躍。塩味を構成するミネラルも食欲とともにアルコールのニーズを高めます。

「出汁」
生ハム、昆布、香茸、、、別々の角度から旨味や香りを抽出した出汁スープ。粗めにカットした車海老のラビオリとともにいただきます。

「Fish & ham」
ニョッコフリット風の逸品。プロシュートとクラテッロの生ハム、これをそれぞれ真魚鰹のお腹と背中と合わせます。前者は生ハムの軽やかな味わいに真魚鰹の脂を合わせ、癖のある後者の生ハムには比較的な淡白な背中の部分を合わせます。

「タコの花束」
蛸のブーケ。まるで吸盤の穴に花を1つ1つ生けたような美しいビジュアル。皮と身にも分解しており、それぞれに役割をアタ和えております。花のコリアンダーの強い風味も爽やかなアクセントを作っております。

「多比良ガネ」
ガネとは島原地方で蟹を指す。タイラガネは、渡蟹のことだ。これに合わせるのも地元の名産の島原そうめんだ。蟹エキスや内子とともに食べる麺料理がまずいはずがない。

「鱧」
天草の鱧が有名だが、実は島原の鱧も素晴らしい。揚げ焼きした鱧も美味だが、仕上げにかけるスープがまた素晴らしい。いりこの風味たっぷりで、その優しい味にほっこりと来ること間違いなし。

「鮑」
3時間も蒸したという鮑は柔らかさが超絶。白味噌と玉葱と塩麹で作ったというソースは濃厚。付け合わせのじゃがいもは肝と絡めていただきます。

「ひとつの鍋」
この日にいただいた全ての魚のアラでとった出汁にサフランを重ねた鍋。島原の魅力を全て閉じ込めたような逸品だ。更にここに天然の海鰻を重ねるのだから余念がない。

「風味」
あんことチーズのデザート。

この日は生憎の大雨で島原の美しい海を望むことはできなかったが、料理を通じて島原の景色を十分に見せてくださいました。ご馳走様です。

pesceco
0957-73-9014
長崎県島原市新馬場町223-1
https://tabelog.com/nagasaki/A4203/A420302/42008914/

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