予約のとれぬ話題のレストラン『レストラン ナズ（Restaurant Naz）』へ。
場所は、日本を代表する避暑地である軽井沢。豊かな自然を目の前にしたコンドミニアムの中にございます。温かみのある木の質感をいかしたモダンな内装で、まるで海外のレストランに来たような印象を抱かせます。シェフの鈴木夏暉氏のキャリアも海外にあり、世界一のレストランとして名高い新北欧料理のノーマやガトーで働いた経験がある。料理のコンセプトに据える熟成や発酵のキーワードも、その影響が大きいのだろう。ちなみに、ノーマのシェフは発酵技術を日本に学び持ち帰ったことは有名。日本の文化や技術が逆輸入の形で軽井沢でプレゼンテーションされているのだ。
また、シェフの地元でもある長野県の食材を主役に据えているが、ただの地産地消ではない。それぞれの食材にとってのベストなタイミングや調理法を模索し、旨味を最大化することに成功している。食材自体の選択もユニークで、例えばコースの中でハヤという淡水魚が登場する。子供たちが川でキャッチ＆リリースするような二束三文の魚だそうだが、、これに見事に価値を吹き込んでいる。文化や歴史を感じさせる食体験も料理の１つに昇華しております。
詳しくは料理を説明しながら見ていきましょう。
「シャインマスカット」
長野のワイナリーが作っているというシャインマスカット。気温の低い長野県は糖度が上がるのが遅めで、この時期に味わいが最大化するんだとか。チーズのコク、発酵レモンの香り、爽やかな黒文字のオイルなど、色んな香りが広がるのが面白い。酸味と糖度のバランスが抜群の爽やかな料理がスターター。テクスチャーもどこかノーマのエッセンスを感じます。
「黄金軍鶏のスープ」
信州が誇る銘柄鶏。鰹、昆布、天然の香茸で旨味をコントロールした香り高いスープ。主役の１つは土の香り、つまり長野県のテロワール。発酵した蓮根、牛蒡、里芋などが入ったラヴィオリが中に隠されます。
「仔鹿のカツレツ」
美ヶ原高原の仔鹿を澄ましバターで香りよく揚げた一品。まずは、仔鹿の柔らかさとクリアな味わいに驚き。続いて、深い味わいのソースが押し寄せてくるのにまた驚き。発酵ブルーベリーに、発酵黒にんにくを使ったソースが、発酵の工程を通して濃厚な味わいを手に入れております。
「信州サーモン」
1000メートル以上の上流で育てられた信州サーモン。美しい水流で2年以上も育てたというサーモンを更に、20日もかけて熟成を行う。低温で火入したサーモンの上には、やはり発酵を施した蕪を重ねる。発酵トマトなどと手を取り合って作り出す酸味が超絶。これがサーモンと絶妙なマリアージュを実現しております。スペシャリテにふさわしい一品。
「ビーツ」
ビーツが主役の一皿。一人丸々１つのビーツを使った料理。ローストしたビーツを燻製、真空して旨味を全体にまわす。さらに、乾燥の時間を設けて旨味を凝縮していく。正直、ビーツという食材に特別な感情を持ったことはないが、間違いなく生涯一番のビーツになりました。塩も当てずにビーツの旨味だけこれだけ濃厚な味が作れるとは、、、
「ハヤ」
例の川魚だ。稚魚から清流で育て上げたものを、低温でカリッと揚げている。ふわふわした食感は、川魚代表の鮎にだって負けないもの。価値の低いものに大きな価値を与える。一流料理人だからできるサステナブルのアプローチの１つと言っていいでしょう。揚げたケールのチープの風味と油分もいいアクセントになっております。
「羊と単黒和牛のレバー」
旨味が強い個体のようで、クリアな味わいと香りの良さが特徴。単黒和牛のレバーとともに。ペアリングについて言及してこなかったが、斬新なワインの合わせ方にいちいち驚かされます。ちなみに、仕入れ先のダボス牧場では、ワイン葡萄を食べさせているそうで、その相性に疑う余地はございません。笑
「ポルチーニのリゾット」
発酵ポルチーニの出汁を使ったリゾット。はぜ掛けしたお米は糖度が増すというが、シンプルに米とポルチーニの旨味で十分な料理。だが、ここに秋鮭のいくらを足して塩気を追加。
「無花果」
無花果の葉っぱを牛乳で煮出したというアイスクリーム。無花果の枝と葉っぱで作ったオイル、乾燥させた黒無花果のチップを乗せる。無花果の隅々まで活用した、無花果よりも無花果なデザートでございました。
ちなみに、予約は１年先までびっしり埋まっているそうだが、その人気に納得。地産地消を超えた長野の食材と発酵と熟成のアプローチ。シェフのセンスが爆発している料理は唯一無二、今後も季節を変えて訪問を試みたいと思います。ご馳走様でした。
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レストラン ナズ
0267-46-8840
長野県北佐久郡軽井沢町追分134-3 GREEN SEED軽井沢内
https://tabelog.com/nagano/A2003/A200301/20024041/