2021年、人形町に予約困難な日本料理店が登場した。
名前は『礒田』、あの新橋の名店である「新ばし星野」からの独立でございます。つまりは、京味の西氏の孫弟子にあたります。京味出身の日本料理店は軒並み予約困難店になっておりますが、孫弟子にあってもその事実は適用されております。場所は人形町から近い裏路地、もともとは寿司屋だったという物件で居抜きでオープン。星野出身ともあれば、スケルトンで大々的なデビューでも問題なかろうが、ゆっくり階段を登っていくような謙虚さに好感度もばっちり。ホップが修行期間なら、いまはステップの段階。ステップを居抜きで過ごし、きっと大きなジャンプを遂げていくのでしょう。
全体的な印象は、素材の味わいをいかした優しい味わい。全体に緩急はあるものの、ゆっくりとじっくりと美味しい、そんな料理を提供しております。それは師匠譲りの出汁のクリアで深い味わいが象徴のようです。その他、お造りの魅せ方に若さが作る個性も魅力だったり、師匠でも好評だった時雨煮があったりと、我々の喜ぶスイッチをツンツンと刺激してまいります。磯田は、ぜひ定点で味わっていきたい、そんな素敵な料理店でございました。
料理のラインナップはこちら。
「先付」初夏に涼しげな一品からスタート。舞鶴産の白烏賊とたたきオクラの組み合わせ。烏賊の甘味と出汁の風味がきっちり吸着しており、出汁のクオリティーを伝えるのに十分なアウトプット。
「鮎の飯蒸し」ほぐした鮎の香ばしさと塩気がもち米とマッチ。蓼の苦味がいいアクセントに。
「焼きすっぽん」極上の柔らかさと濃厚な味わいが特徴。味付けもシルエットもシンプルながら満足感がかなり高い。
「鱧の蓮蒸し」なんと優しい味わいか。旨味が優しく餡で、蓮根の甘さや鱧のほのかな香りや旨味と上手に結合しております。
「お造り」なんと涼しげで華やかなお造りでしょう。夏を代表する魚が、これまた夏が旬の蓴菜の上に佇んでおります。さらには、煎り酒のほのかな塩味が締まった印象も作っております。
「とうもろこしと太刀魚の天ぷら」甘くてジューシーなとうもろこし、そしてふわふわでジューシーな太刀魚。素材を壊さぬ味わいにもやはり技術の高さを感じます。
「お椀」冬瓜とぐじのお椀。ここで注目はやはり出汁でしょう。優しさの中にインパクトのある風味は師匠譲りか。この出汁が食べれただけで笑みが溢れる。
「金目鯛の鱗焼き」鱗と身の火入れのコントラストが素晴らしい。
「トリガイの実山椒焼き」
「賀茂茄子」ここでも出汁の素晴らしさを再確認。賀茂茄子の旨味がシンプルに倍増しております。
「無花果の白和え」白和え自体の味が濃厚で素晴らしく、これが無花果を上手にコーティングしております。
「食事」ここに牛の時雨煮があるのが嬉しすぎる。星野でも大好物でしたから。こうやった名物が継承されていく姿って本当に素敵ですよね。
二杯目は卵かけご飯で。
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礒田
03-3527-3116
東京都中央区日本橋人形町2-6-11 五十番ビル 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130204/13258330/