神戸にあるスペイン料理店『bb9（べベック）』。店名の由来はおそらく「バーベキュー」からなのでしょう。改めてバーベキューをwikipediaで調べてみると、こう定義されます。
”薪、炭、豆炭などの弱火によって肉や野菜、魚介類などをじっくり焼く料理、もしくは煙で燻すその調理法や行為を指す”
これを見て自信が確信に変わりました。べベックの料理そのものなのです。中でも彼らが可能性を見出しのは「薪」で、なんと月に２トンもの薪を使用するそう。一人当たりでも薪を１日３本も調理に使うというのだから驚きます。食材の良さを最大限に活かすために薪を選んだということ。ソムリエの西川氏はわかりやすく囲炉裏に例えます。囲炉裏は、距離の調整で火傷するほど熱く、離れれば暖かいもの。そんな特徴を駆使して火入れができるそうだ。そんな強い火力による焼きに加えて、薫香が作り出す香りもまた魅力の１つ。ちなみに、スペイン最高峰いや世界最高峰と呼ばれるレストラン「エチェバリ」も薪を使いこなす。古典的な手法ながら最先端、そんな料理法と言っていいのかもしれませんね。
料理のラインナップはこちら。
「自家製パン」薫製バターとペリゴールトリュフ。挨拶代わりのパンは付け合わせではなくコースを構成する主役の１つとして登場します。
「キャビアの薪焼き」事前予約が必要なメニューだが是が非でも注文したい一品。キャビアは冷たい状態で食べるものという先入観が一瞬で壊れます。薪で火入れをしたキャビアは、塩味が適度に抜けて、もはや甘味が感じられるほど。火が入ったことで、旨味とともに口の中で溶けていくような感覚は他では絶対に味わえません。キャビアに温度を与えるという作業を誰も真似をする人が現れないのは、この風味を作り出すのに薪が必須のアイテムであることの証左かもしれません。
「アーティチョーク」１時間の丸焼き。時間をかけたことに比例する香りを獲得しております。この中にうずらの卵、上には生ハムを重ねます。黄身のコク、生ハムの塩気、そして薪の香り、これがアーティチョークを絶品のものに押し上げます。
「本マグロ」あえて小ぶりのマグロを選択。一切れに赤身、中トロ、大トロが内包できることが狙いなのだそう。薫香だけでも十分な調理になっておりますが、ビネガーやニンニクを使ったソースが絶品。マグロは日本のお家芸だと思っておりましたが、スペインも負けていないようだ。
「本ミルガイと菜の花」マグロと同じように薫香が主役。菜の花の苦味と上手に握手させております。
「白子と雲丹」薪焼きの白子とソース代わりの雲丹。それぞれで成立するのほどのクオリティー。特に白子には驚かされます。外側は焦げ目がつくほどカリカリなのだが、中身は驚くほどクリーミー。この機能を両立させるのは確かに薪しか考えられません。豪快で繊細、そんなアウトプットを実現する最適な方法なのでしょう。
「トリュフスープ」鶏や鴨の出汁。トリュフを煎じて作ったお茶というか、アロマというか。アロマだとしたら、癒しなのか刺激なのかわからないけど。笑
「もろことパルミジャーノ」琵琶湖ではなく中津川産。さっきまで泳いでたというだけあって野性味すら感じます。味付けはなく、塩気とともにチーズだけの風味が足されます。素材へのリスペクトを感じさせる一品。
「蟹のリゾット」津居山の松葉蟹を使ったリゾット。薪によって引き出された蟹の旨味をシンプルに。不思議と寿司や天ぷらを食べている感覚に近い。素材の味を引き出す、それをシンプルに提供する。bb9の薪料理はそんな感覚なのです。
「天然くえ」１週間寝かせたクエ。クエの皮めはカリカリなのだが、その皮の水分が抜けてません。これも薪のなす技か！ピルピルというバスク地方の伝統ソースでいただきます。マヨネーズのような一品なのだが、すっきりした味わいでこれだけで食べたいほどです。笑
「熊本赤牛のフィレ肉」バーベキューといえばやっぱり肉ですよね。これが最も薪焼きの魅力を説明しやすい。外はカリカリに仕上がるが、断面はほとんどタタキのように見えますよね。炭などでやればこのコントラストは明確には生まれづらいそうです。
「洋梨のシャーベット」果肉のザラザラ感が目立つ。材料は洋梨のみで、その甘さだけを楽しめる一品。こちらには薪は使われていないが、シンプルに素材の良さを引き出すという意味では、とてもbb9らしい料理と言っていいでしょう。
「薫製アイスクリーム」締めまで薪焼きの魅力を込める。なんて塩アイスに薫香をしっかりと纏わせます。さらに！味変と呼ぶには豪華すぎるシャトーディケムによる味の変化を楽しませてくれます。こんな幸せなデザートを他に知りません。笑
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bb9
050-3186-4889
兵庫県神戸市中央区元町通3-14-5
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280102/28039815/