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2019.03.02 夜

料理を通して富山の魅力を雄弁に語る。@ふじ居

日本料理

富山

10000円〜29999円

★★★★★

富山は、文字通り山に富んでいる地域。そんな標高3000m級の山々と水深1000mの海は、豊かな食材を産み出します。それらを駆使した日本料理店『ふじ居』が本日の目的地。屋号は大将のお名前である”藤井”が由来ですが、何の偶然か、富山の地名は大昔は「藤居山」といったそう。富山を背負う料理人として何て相応しいお名前なのでしょう!

お店に入ると左手にはカウンターとテーブル、右手には離れになっている個室がございます。基本的には料理人との会話も楽しむためにもカウンターが嬉しいですが、案内されたのは風情のある個室。多くを語ることはできませんでしたが、料理は雄弁に語りかけてきてくれたのが印象的だ。

まずは八寸から。ホタルイカの酢味噌和え、蕗の薹をいれた八尾の最中、サーモンの温玉包みなど、富山がしっかりと詰まった八寸。前日に漁の解禁したホタルイカが味わえたことは本当にありがたい。富山が誇る山々の山菜達からは春の息吹も感じられます。雛祭りを意識した菱餅のような敷紙など、京都の名店でも働いたという実力がさっそく伝わってまいります。

この後も徹底して富山が目白押し。お椀には山から里芋の真薯、海からは甘海老とそれぞれの幸を合わせます。

そして、四方漁港からという槍烏賊には生のカラスミを合わせます。この種の食べさせ方は、往々にしてカラスミの風味だけが残りがち。にもかかわらず、烏賊の風味が余韻でしっかり残ることに驚きます。柔らかさ、味わい深さは、地元ならではの新鮮さを印象づけます。

焼き物の「桜鱒」も言わずもがなの富山の名産。シンプルな炭火焼だが、抜群の塩加減で皮目の旨味においてはもう言葉がございません。

だが、この日の主役はやはりホタルイカ。繰り返しになりますが、前日に漁が開始したという、本当に最初の最初のホタルイカでございます。それを物語るかのように大将が粋な演出をしてくださいました。個室の電気を消して、そこに浮かび上がってきたのはまるで蛍のように青い光。

まさにホタルイカの名前の由来どおりですが、これは生きているホタルイカでないと見ることができません。こちらもシンプルに茹でたてのものを頂きましたが、とにかく初体験に興奮が冷めやらない。

こうした素材だけでなく伝統的な料理も紹介してくださいます。それが富山の五箇山地方に伝わる、その名もずばり「五箇山豆腐」。身がぎゅっと詰まった堅豆腐で、木の芽味噌に合わせていただきました。豆腐の食感が、木の芽味噌を楽しむ時間を作ってくれるので非常に相性がいい。伝統的な食材を生かす、素晴らしい発想です。

メインを飾るのもまた伝統の「氷見うどん」。これを熊と合わせるという、やはり富山の魅力が詰まった食べさせ方。熊の甘い脂とつるっとした氷見うどんの相性もばっちりです。

その他、口直しは氷見の海藻の「ながらも」、

炊き合わせは県産の「聖護院かぶら」、

甘味には富山が誇る銘酒の満寿泉のアイスクリームという徹底っぷりです。冒頭で申し上げたとおり、大将は料理を通して富山の魅力を雄弁に語ってくださいました。ご馳走様です。

ふじ居
https://tabelog.com/toyama/A1601/A160101/16009183/

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