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2017.06.29 夜

彼の作る料理は「日本」そのものだ!@本湖月

日本料理

大阪市

10000円〜29999円

★★★★★

日本料理と和食の違いわかりますか?
大阪の日本料理の名店『本湖月』にてその違いが理解できた気がします。日本料理とは伝統的な「型」を実践すること。和食は日本の食文化全般をさすこと。これがミトミえもんの理解ですが、ちょっとわかりづらいですね。例えば、日本には「節句」という伝統的な年中行事を行う季節の節目があります。この時の風習を料理で表現することこそが日本料理なのです!うーん、まぁ難しい話は置いておいて、食事をいただきましょう!

最初に登場したのがかまくらのような氷のドーム。そして、これを割ったその先に鎮座するのは「胡麻豆腐」です。なんでも昔は氷は庶民に手の届かないもので、胡麻豆腐を氷に見立てて食べていたのだとか。これを水無月豆腐というそうです。便利な世の中では想像ができないが、かつては夏を超えることが生死に関わることだったのでしょう。だからこそ、祈ったり願ったりする文化が大事にされたのですね。ちなみに、これが旧暦6月1日の「氷の節句」の文化でございます。

季節は随所に感じさせます。例えばお椀の「ノドグロとオクラのすりながし」。塩を4日間もかけて抜いた紀州梅が酸性の体をアルカリ性にしてくれるのです。梅雨の季節って体が酸性になりやすいんですって。もちろん料理への貢献度も高い。のどぐろの強い脂も梅で中和されます。おかげで出汁は本節と利尻だけというが、味の深みはそれ以上のものを感じます。

「八寸」も季節を彩る。こちらも6月の行事である無病息災を祈る茅の輪くぐりに見立てて提供される。器の上に輪が立体感がリッチに見えますね〜。写真をお見せできないのが残念だが、旬の食材が器をにぎやかに彩ります。個人的なお気に入りは枝豆の揚げ物。食材の甘さがたまりません。後半の「蓴菜の蕎麦」なども涼しくて夏の始まりを忘れてしまいそうです。

旬の素材を楽しむのも日本料理の特徴。「お造り(アオリイカ、赤雲丹)」では、赤雲丹には一切の加工を加えません。だってそれが一番美味しいから。かっこいいっすね〜、自信がない人ほど小細工に走ってしまいますもんね。ミルキーな甘さで余韻が長い。雲丹を食べた後に余韻を調味料にアオリイカをいただいても絶品です。琵琶湖産の「鮎」は苦味から生命力が伝わり、しゃぶしゃぶにした「トリガイ」からは強い甘さを感じます。

おっと、忘れてはいけないのが「鱧」ですね!焼き霜でいただいたのは韓国産、食事とともに照り焼きでいただいたのは淡路産です。前者は溶けるような食感。実現するのは切り方なのか火入れなのか。まぁ、両方なんだろうけど。笑 後者は実山椒がびしっとアクセントの役割を果たします。ここに日韓融和が実現しました!

最後にデザートのご紹介。さくらんぼ、三ツ矢サイダー、カルピスのゼリーだ。懐かしい2つの発明品は実は日本生まれ。やっぱり本湖月で感じるのはずっと「日本」なのだ!

包丁を握る大将の年齢は68歳。話の全てが目から鱗です。例えば、日本の料理は汚れを見せない文化。白和えなどの汚れが残る料理は深い器にいれるべきという。食べる人が美しく食事をいただける配慮ってことですね。そういえば、お椀の梅干しの種入れも深い器が用意されてました。確かに最近はバカラの器とかで何でも出してしまう店があるが、喜んでいた自分がちょっと恥ずかしいです。日本料理の文化を守るには食べる側にも責任があるということですね。

その他の料理。

「トツカアジの笹寿司」
初めて聞いた鯵の名前の由来は、10本の指で掴むくらい大きいという意味。少し炙った鯵の風味に薬味がアクセントになってます。

「豆腐の白かけ」
下仁田蒟蒻、ぜんまい、南関揚げ(熊本)。甘さを感じるが砂糖は一切使わない。むしろ塩だけでの調味だそうだ。ぜんまいはかなり手間のかかる料理だそうで、作り手が将来なくなるかも!?なんていう貴重な料理です。

「デザート①水物(寒天)」
白樺の樹液だけで使った寒天。

本湖月
06-6211-0201
大阪府大阪市中央区道頓堀1-7-11
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270202/27001286/

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