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2017.05.21 夜

北海道の鮨職人が見ているもの。@鮨 一幸

寿司

札幌市

10000円〜29999円

★★★★★

でっかいどう、北海道。面積はもちろん「でかい」が、この地で出会った鮨職人の見ているものも「でかい」。もともと千円の寿司屋からスタートした大将の工藤氏には師匠がいない。全てを自分で考え、研鑽してきたことの自信がその所作から放たれます。とにかくカッコイイのだ。試しに何か質問してみるといい。迷いなく質問にはっきりと答える姿の先に努力や研鑽を見ることができます。

「地産地消」という言葉が嫌いだと彼は言う。客は彼に北海道を求めがちだが、彼の「地」は北海道ではないのだ。もちろん出身は北海道なのだが、彼の「地」は日本なのだ。もちろん北海道の食材が中心にはあるが、日本全国美味しいものがあれば彼は足を運んで自分の血肉へと変えていく。見ているものは大きい北海道ではなく、日本であり世界なのだ!

もちろん北海道を大切にしている。最初に提供された「鯛」。昨日しめたばかりの鯛からは甲殻類の風味が漂う。なんと餌場まで指定した食材なのだとか。ちなみに彼は熟成はしない。鯛も高温の環境で寝かせたそうだが、見事に旨味を引き出します。

計算され尽くしたつまみは続く。「鮑」鍋で炊いた鮑の出汁はそのまま鮑に戻します。鮑の一切を逃さない一品。

「鰹」は炭火で焼き、跳ね返りの煙で燻す。一緒にいただいた海苔醤油の絶品具合にはとにかく驚きます。

握りではさらなる衝撃。スペシャリテともいえる「蝦蛄」だ。
通常蝦蛄は鮮度がよいうちに茹でなければ身が溶けてしまうそうだ。つまり、東京に流通しているのは産地で茹でられたもの。彼は石狩湾でとれた蝦蛄は産地で仕入れ提供直前に茹でます。するとどうなるでしょう。子持ちの卵がまるで半熟卵のようになるのです!この卵が蝦蛄のソースになっている。衝撃的なネタではあるが、これだけは真似をしたくても真似ができない。そのアイデアと努力に脱帽です。

一体感。これは彼にとって重要なキーワード。
ネタ、シャリはこのキーワードを実現させるために、仕込みの段階から湿度、温度、時間などが徹底してコントロールされる。この調理は直前まで続きます。例えば、「のどぐろ」。シャリの上に切り身をのせるが、のどぐろの脂がシャリに落ちていくことで完成する。1つの塊として提供される。つまり一体感がすごい。

余韻。これも彼にとって重要なキーワード。
彼は味覚は一定ではないという。その順番によって変動があるのだ。随所に脂を口にためていく。「金目鯛」、「大トロ」、先ほど紹介したのどぐろなど。

単体でももちろん絶品なのだが、この後に提供される「鯵」にびっくり。序盤に出すべきネタのような印象もあるが、このたまった脂とのコントラストで味が際立ち、続いていくネタのために口が冷やされる。

最後にもう1つエピソードを紹介。驚いたことに、彼はマグロを触らないのだ。鮨屋ではマグロは一番偉い人が触るべきなのだと。一緒にカウンターに立つお父様への尊敬があるからだ。自分で大きくしてきた店にあって、父親をリスペクトし続けること自体にかえってスケール感を感じる。そんな男に最後にミトミえもんを握ってもらいました。いい記念になったな、ミトミえもん。

「鮟肝」噴火湾産。

「雲丹 鮑の水貝 蓴菜」小樽産。

「ばちこ」

「カスゴ」

「シマアジ」

「まぐろ」

「雲丹」浜中

「帆立」天然の帆立。自身の水分で煮る。

「穴子」

「玉子」

「ホオズキ」

「干瓢巻き」

鮨 一幸
011-200-1144
北海道札幌市中央区南2条西5-31-4 スカレッタビル 2F
https://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010102/1044489/

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