「おいしい」を、
すべての人に。

検索

2016.07.08 夜

「天ぷらの概念よ、さようなら。」@くすのき

天ぷら

名古屋市

日本一の呼び声高い天ぷらの店が名古屋にあると聞いたのはいつの日か。念願叶っての初訪問は、リニューアル後二日目というプレミアシートだ。

その名は『くすのき』。冒頭の言葉は大将の楠さんの言葉だ。ここから3時間半に渡る楠劇場は、この言葉の証明の連続である。

鱧を骨切りする意味を知っていますか?京味の西さんもおっしゃっていたが、鱧の骨は最もうまい出汁がでると。あの骨切りによって旨味が味に沁みていくということだ。

まさに素材から旨味を引き出す技術そのもの。鱧の味は「切れ味」が決める。

「アオリイカ」への細かい包丁も同様に味を引き出す。アベレージのネタだが、技術がアベレージではない。

技術は包丁だけではない。例えば「とうもろこし」。

出荷してからの時間が粒から糖度を奪うそうだが、再び粒に糖を戻す作業をするのだとか。3日かけたというが寝かすだけではなく、出汁や塩気で調整しているそう。

旨味を引き出すということは、実験でわかりやすく説明してくれる。慶良間節、利尻の昆布、鱧出汁のシンプルな汁に塩を一振り。たちまち旨味が主張してくる。

甘さと香りがグッと前にでてくるのだ。なるほど、素材本来の味を引き出すというのは、こういうことか。様々の素材でビフォーアフターを見せてくるので勉強になる。

日本料理屋で修行したという絶対的なベースをもった上での挑戦的なメニューも面白い。リニューアル期間中には、東京だけではなく、パリやニューヨークで刺激を受けてきたそうだ。今回使用した素材にさっそくそのエッセンスが!フランスブルターニュ地方の「ブルーオマール」の登場だ。

くすのき風にアレンジされた「なめろう」や「天ぷら」はおそらく他では食べれまい。

天ぷらをポン酢につけるチーズのような香りがするのは、これも素材が持つ力ということなのでしょう。

他にも、「新ジャガ」に乗せられたキャビアも非常に面白い。

よくよく考えれば、キャビアの塩気の強さを考えれば非常に理に叶った料理といえる。黒トリュフのオイルをまぶした半熟の「うずら」の天ぷらも絶品だ。

タレの紹介もしておきたい。本日のタレは、玉ねぎと大根のみ。鱧の出汁、昆布、慶良間節少々加えた程度。ほとんど野菜の旨味でできたタレで野菜を食べる。野菜同士がお互いを高めていく。とろける食感の茄子やアスパラなど面白い経験だった。

一番のお気に入りは10年モノの「蛤」の天ぷら。

はまぐりの汁で作る餡掛け。素材自体で終わらせず、さらに高みを目指す。これには参りました。名古屋飯はスパゲッティに餡をかけましたが、楠さんは蛤に。笑

最後に紹介したいのは穴子の骨。くすのきのロゴそのものなのだが、これこそ「くすのき」の真骨頂。

生きている穴子に適切な包丁を入れないと変色するのだそう。これだけの技術の結果は口にいれれば一瞬で伝わります。カウンターの後ろにも自作のオブジェが飾られている。

天ぷら概念が変わりました。天ぷらのお店はもちろん天ぷらを揚げるのが仕事なのだが、楠さんの仕事は、素材が最も美味しくなる1つの方法論として天ぷらを揚げているのだ。

メモ。ゆうに30を超えるラインナップ!

「鱧の素揚げ」初物の三河産の鱧を太白油で素揚げ。柚子の香り。太白油の香りの良さが伝わる挨拶代わりの一品だ。
「鱧の水晶落とし」お造り。鱧の出汁と醤油の同割。卵巣と白子も。これは初めての経験だ。
「出し汁」慶良間節、昆布、鱧で出汁をとる。
「車海老」塩の有無で二種。これが旨味を引き出すということか。
「車海老の頭」
「アオリイカ」2キロ。細かく包丁をいれることで味を引き出す。
「とうもろこし」愛知県産。3日寝かす。糖度を戻す。こちらも塩の有無で二種。
「雲丹」三河湾の紫雲丹。旬は一ヶ月程度。生と天ぷらの二種。雲丹のネガティブをすべて払拭。たった8秒。油霜造り。
「キス」三河湾。片身なのに大きい。
「鷹峯唐辛子」塩で。先端のほうが香りがいい。軸は温度が下がると香りがいい。素材を知り尽くしてますね。
「小玉ねぎ」愛知産。香りが豊か。これも素材の力を引き出した結果か。
「鱧」旨味が引き出される。キープしているのではない。天ぷらによって旨味が向上する。
「ブルーオマール」なめろうと天ぷらの二種。焼きなすのピューレやとうもろこしも絶品。
「茄子」茄子の水で茄子を挙げる。天ぷらは蒸し料理であることを再認識。野菜の旨味で野菜を食べる
「真魚鰹」漬けにしてから揚げる。ほどけるような食感。
「アスパラ」こちらも穂先から。
「鮑」鳥羽産。900gの大きさ!おそらく二十歳くらいだそう。
「鮑のミミ」食感がある。
「黒鮑」低温蒸し。ほろ苦さ。蒸した時にいい。
「鮎」馬瀬川。焼き煮浸しを鮎の出汁のみで。ワタの旨味も有効活用。ここに天ぷらを加える!
「穴子の骨」くすのきのロゴそのもの。技術がないと変色するのだそう。適切な包丁。生きてる穴子を。骨の旨味。
「穴子」タレとおろしで楽しむ。二種。
「蛤」10年もの。餡掛け。
「新ジャガ」三方ヶ原産。皮目の香りがいい。キャビアの有無で二種。ベルーガが塩の代わりに。
「うずら」日本一の生産量の豊橋産。半熟の卵に黒トリュフのオイルを。
「じゅん菜」酢の物代わり。フリーズドライの梅干し。青柳の小柱。もずく。
「サンドイッチ」すり身、わたり、すみいか
「煮込み穴子の天むす」いったい幾つの技術を?煮込み、寿司、天ぷらなどなど。
「そうめん」タレを加えると味が引きたつ。
「カレー」3種。とうもろこしとキャベツの甘みと魚介のコク。とろみは里芋で。すごすぎる、、、
「デザート」

エリア

ジャンル

価格帯

評価

月別アーカイブ