2016.05.13 夜 「フレンチなのか?和食なのか?それは問題ではない。」@salle de Makino 日本料理 六本木・麻布・広尾 10000円〜29999円 ★★★★☆ 「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」と、かのハムレットは語った。青年の苦悩や決意を描いた戯曲で、悩み多き現代人にも通ずるテーマの名作の一節だ。惜しまれて先日亡くなられた蜷川幸雄氏演出のハムレットも有名ですね。 実はミトミえもんの卒論のテーマは柄にもなくシェイクスピアだったんです。これだけ大きな選択を迫られることは少ないが、人生は選択の連続です。でも、必ずしも答えを出さなくてもいいですよね。話がよくわからなくなる前に本日の会場に目を移しましょう。 本日の会場は、西麻布の一軒家レストラン『Salle de Makino』店の名前に使われるのはフランス語で、シェフである牧野氏の家という意味。当然想像するジャンルはフレンチだが、牧野さんの家の料理は少し違う。 これは、フレンチか?和食か?長年の和食の名店での研鑽や渡仏してのフレンチの経験を持つ。この2つを融合したイノベーティブな料理を目指す。昨今エルブリ風の創作料理が目立つが、味が伴うならばそれは大きな問題ではない。 これを象徴するようなスペシャリテが「パフェ」見た目は完全にパフェだ。そもそも「パフェ」という言葉もフランス発祥。このフランス生まれの料理に「和」のエッセンスが加わる。 初夏の野菜達がパフェらしい彩りを作る。トマトに人参、アスパラに紫キャベツをジュレ状の和出汁といただくサラダが正体だ。コーンバターのアイスクリームにサマートリュフは「洋」の要素。千里豚のそぼろや仕上げの醤油のパウダーは「和」の要素と目まぐるしく和と洋が入れ替わっていきます。 この際、フレンチなのか、和食なのかは問題ではない。Makinoのスペシャリテとしてはぴったりな逸品だ。 ストーリー仕立てもシェフの真骨頂。2段構えの器に盛られた「雲丹風仕立てのホタテの天ぷら」雲丹の棘を海苔、身の部分はホタテの天ぷらと本物の雲丹、海をアオサで表現。 メインには、鹿児島産黒牛のハッシュドビーフとハートマークの最中。 隣にそえられる和菓子である最中。中身のカマンベール、フォアグラはやはりフレンチを彷彿とさせる。食事は「新生姜の炊き込みご飯」。ひじきに釜揚げしらす和の世界観で〆。 冒頭の疑問。これは、フレンチなのか?和食なのか?フレンチ仕立ての和食もあれば、和食仕立てのフレンチもあり、少々あべこべな印象もあったが、そんなことはあまり問題ではないのかもしれない。 彩り豊かな料理は目を楽しませ、和出汁ベースの料理は安心感を与える。強いて定義するならば、牧野さんの家(Salle de Makino)の家庭料理といったところか。 ちなみにこの日は小山薫堂さんとご一緒させていただきました! — モダン和食 サル ドゥ マキノ東京都港区西麻布2-12-6https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13161511/