2015.12.15 夜 素材を活かす。言葉がなくとも「握り」から伝わる想い。@うを徳 寿司 両国・錦糸町・小岩 10000円〜29999円 ★★★☆☆ 閑静な住宅街にほんのりと光る看板。おすもじ処『うを徳』の文字が浮かび上がる。 おすもじとはお寿司のこと。室町時代から使われた女房言葉。語頭に「お」をつけたり、語尾に「もじ」をつけたりする言葉。例えば、「おかず」や「おにぎり」それに「しゃもじ」なんかがそうです。古い言葉を残したいという意志だそうです。 話を戻して、今日のおすもじの会。ご好意でお誘いいただき、貴重な予約の末席に加えていただきました。寿司はカウンターが基本ですが、案内されたのは趣ある建物の二階の個室。たまにはこういう大人な会合もいいものですね。 京都の「淀ダイコン」でスタート。甘みのやる優しい味にきめ細かく煮崩れしない。 釧路の「生牡蠣」、明石の「タコ」、能登の「ナマコ」とつまみが続く。 牡蠣のクリーミーさ、濃厚な煮たタコ、潮の香りのナマコ。共通点は日本酒にあうこと。様々なベクトルで酒に誘います。 素材を楽しませた後は、調理技術のプレゼンテーション。「鰤の藁焼き」に「甘鯛の酒蒸し」です。タレにまで藁の風味がつけられ、食感もまるで角煮のような存在感です。 酒と塩だけのシンプルな味付けでも、舞鶴産の甘鯛の甘さを際立たせます。 日本が生んだ素晴らしい技法は素材のよさを引き出します。青森産の「ヒラメ」、函館産の「雲丹」と続き、「青菜とお揚げ」の椀で小休止。 シンプルな味付けで胃を包み込む。悪酔いしないためにも有難い。 握り前の2品は素晴らしい。「海老芋」の揚げ、「のどぐろ」の焼き。 季節的に最後の海老芋ですかね。粘り気のある肉質や風味の良さはさすがです。素揚げを選択したのには素材への信頼を感じます。脂がたっぷりののどぐろも美味。握りの前半戦に「中とろ」「ひらめ」「平貝」「シマアジ」 後半戦で「穴子」「赤身」「小肌」と計7貫。 形状が細長いのが特徴的。シャリは赤酢を使用している。余計に是非カウンターで所作を見てみたかったですね。大きさのせいではあるまいがシャリの存在感が強い。素材を引き出す能力に一日の長があるのか、熟成の技術もなかなかのもの。 握りの間で提供された「白子の椀物」も好感度が高い。濃厚なクリーミーさはもちろん、大きさへのコミットが素晴らしい。柑橘系のさっばりさでバランスをとることも忘れない。 素材そのもの、素材を活かす調理など素材へのリスペクトを感じます。カウンターの前でなくても料理から想いが伝わります。 ―うを徳03-3613-1793東京都墨田区東向島4-24-26https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131203/13017947/