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2015.12.04 夜

この人は並のビジネスマンではない。当代屈指の鮨職人の向かう道。@すし匠

寿司

四ツ谷・市ヶ谷・飯田橋

10000円〜29999円

★★★★★

この人、並のビジネスマンではない。これが当代屈指の職人である『すし匠』の中澤圭二氏と出会った感想だ。

食通であることと金銭的余裕があることはある程度比例すると思う。つまり、一定以上の収入を持つ客層と会話ができるということも含まれるが、彼の場合はそのレベルの職人ではない。

中澤氏は今月で四谷の『すし匠』のカウンターを離れる。来年にはハワイのリッツカールトンで鮨を握っている予定だ。この目的こそが冒頭の言葉につながるだが、そこは食事の後で。

前段が長くなってしまうので、さっそく「おまかせ」をスタートしましょう。

すし匠の最大の武器は酢飯と熟成の技術。酢飯には赤酢、白酢、ブレンド酢の3種を使用。味の強いネタには赤、淡白なネタには白というだけではなく、熟成の度合いによっても酢飯を変えるというこだわりよう。もう1つ特徴的には、つまみと握りをあえて混合しているのも特徴的です。

素晴らしいネタをいくつもいただきましたが、印象に残ったものを中心にご紹介。

「アオリイカ」の握り。4日熟成のもので、あきらかに旨味がレベルが違う。淡白なイカにここまでの旨味がでるとは・・・。驚きの熟成技術。

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「さごち」の握り。さわらの子供。冬が旬だが、さわら自体は焼き魚に向いているそう。

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鮨には子供が向いているのだとか。確かにとろける食感はトロを思わせる。「タコ」の刺身。伊勢海老食べてるんですって!こちらのタコさん、グルメなんですね~。

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やはり味はうつるものだそうで、産卵前の一番いい時期を狙ってるのだとか。塩とわさびだけで充分。咀嚼のたびに旨味が飛び出てきます。

「白子」。タイミングをずらして、玉ねぎのおろしポン酢と焼き白子が提供されます。

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同じ食べ物とは思えない風味の違い。特に焼き白子は日本酒を加速させます。笑「いちご蒸し」デザートではないですよ。勘違いしないでください。

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青森の郷土料理のいちご煮からインスピレーションを得ているそうです。もともとは雲丹と鮑のお吸い物。これらに加えて、蟹の内子、すじこ、鯛などのはいった茶碗蒸し。数段パワーアップしてますね。

「あん肝すいか」すし匠が誇るスペシャリテの1つ。伝統に頼るのではなく、変り種の提供は一切の邪道には見えない。もうすでに食通達が楽しみにしている定番メニューになっているのだから。

あん肝の上にスイカの奈良漬けですよ。どうやって思いついたのでしょう。奈良漬の塩分があん肝に好影響を与えます。

「おはぎ」まぐろの中落ちや皮ぎしに胡麻や葱を混ぜたもの。そして食感を生み出す沢庵がいい味だしてます。こちらもすし匠が誇るスペシャリテの1つ。

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「まぐろ」絶対忘れてはいけないのがマグロ。特に4日目の中トロの香りといい、甘さといい完全体ですよ。まぐろ先輩もここまでしてくれれば本望なのではないでしょうか。まさにご馳走様です。自然に感謝せねばなりません。

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この後、一週間熟成、10日熟成と出てきます。

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違いは認知できても、甲乙をつけることはできません。それぞれが素晴らしい旨味を自生してます。だって全て満点なのですから!

お腹もいっぱいになったところで改めて冒頭の言葉の意味を説明します。正直ハワイに行くことは、失礼ながらお遊び的要素が多いと思ってました。

大将が危惧しているのは、日本人が日本の魚を食べられなくなること。現在では日本の魚が高騰している。世界の富裕層が買占めはじめているのが原因なのだとか。一見いいニュースにも思えるが、世間一般の人々にはひとたまりもない。鰻の高騰が他の魚でも起こるところを想像してください。(鰻は単純な漁獲高の問題)

これを解決するためにハワイに向かうのです。日本の魚が高騰している理由は、必ずしも魚の質がいいという話ではないそうです。重要なのは「とり方」と「手当て」なんだとか。いくら教えても外国の漁港では理解されないそうです。この文化を海外に持ち込むのが中澤氏の構想だ。

視点、行動力、志。本当に優秀な商社マンと会話しているような感覚でした。やはりこの人、並のビジネスマンではない。いずれやってくる危機に、日本文化の救世者となる人かもしれない。

以下、メモ。

・「はまぐり」
・「鯛」塩締め
・「金目鯛」昆布締め
・「煮烏賊の印籠詰め」
・「さより」塩締め
・「アオリイカ」握り。4日熟成。
・「かつお」
・「さごち」握り
・「タコ」
・「小鰯」握り
・「赤身のづけ」握り
・「鱈の白子」玉ねぎおろしポン酢で。
・「ホッキ貝」七味で。
・「中トロ」4日熟成
・「大分天然車海老」握り
・「焼き白子」
・「ぶり」背びれの下の部分、エイジングブリ。
・「むらさき雲丹」北海道産
・「中トロ」1週間熟成
・「いちご蒸し」
・「金目鯛」握り
・「きす」握り
・「あん肝すいか」握り
・「おはぎ」握り
・「貝柱」握り。青柳の柱
・「エイジングトロ」握り
・「すなずり」握り
・「白海老」握り
・「穴子」握り
・「巻物3種」マグロ、烏賊・雲丹・胡瓜、鯖・ガリ・大葉
・「干瓢巻き」
・「玉子」握り


すし匠
03-3351-6387
東京都新宿区四谷1-11 陽臨堂ビル 1F
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