は〜るばる来たで角館〜。
函館ではなく角館。武家屋敷と桜で有名なこの地に何故真冬にきたか。目的は一つ、『じん市』にお伺いするためです。
晴れていい天気。ここ最近は曇り続きで晴れ間などみえなかったそうで、晴れ男気分でドヤ顔です。雪が道路に整地され、眩いばかりの光景です。
角館の駅からほぼ直進。高橋旅館という旅館の敷地内にございます。
さっそく女将さんのご挨拶。あー、予約の際にお電話で素晴らしい接客をしてくれた方だ。まるで笑顔が見えるかのよう。いただいた名刺には、料理人「高橋一行」笑顔人「高橋由樹」の文字。
笑顔人という言葉がぴったりな女将さんです。ちなみに、じん市という屋号はご主人のお祖父様が作った旅館の名前からとったそうです。
10人程着席可能な対面式のカウンターと6名ほど着席可能なお座敷2つ。今日はラッキーなことに店内貸し切り状態で、一番奥の座敷席をいただきました。
■ズワイガニの湯葉巻き
ゲランドというで滋味豊かな海塩。ちょっと油はきつめだが、海塩が手を差し伸べる。中は身のつまった蟹の果肉と出汁を吸い尽した湯葉が旨味が口の中にふわっと広がります。
■天然アワビととうたち菜を青山椒で
男鹿半島でとれたという天然のアワビは薄くスライスしても風味を隠し切れない。これをとうたち菜(白菜の一種)の渋味とピリッとした山椒が手を取り合っております。
■無農薬の角館野菜とアカメフグの焼き霜
皮に直火で焼き目をつけ、冷水で冷ます。
この焼き霜の手法で提供されるアカメフグは生臭さなどとは無縁、風味が豊かな仕上がりです。香ばしさが口の中に広がり、残り香までずっと楽しめます。皮以外と透明感とのコントラストも非常に美しい。プリッとしたアカメフグも漁師さんから船で直接受け取るそうです。新鮮さも抜群ということ。無農薬のレタスも柔らかくてふわふわな食感。リンゴとドレッシングで酸味も加算されてます。
■比内鶏の卵の茶碗蒸し ヤリイカのすり身入り
そろそろ言葉を失います。もぉ、美味すぎる。ヤリイカとは思えないほどフワフワに仕上がり茶碗蒸しのタネとして存在感を放つ。
比内鶏の茶碗蒸しは頬が落ちそうなほど濃厚で、うまいとしか表現できない。
■ノドグロの揚げ物とサフランのスープ
サフランで色づけされて美しい黄色のスープ。
その上に新鮮で甘い芽キャベツと秋田でとれたノドグロの揚げ物が添えられます。何ですか、この繊細な焼き方は。カリっとしてるのに柔らかい。極上です。サフランとノドグロの握手など他で見られる一品ではない。
■人参のムースとコンソメのジュレ
希少価値の高い短角牛の希少価値の高いイチボ。これでできたコンソメがまずいはずがない。
旨味が抽出され、ジュレという形で凝固された一品は見た目にも美しく、味は隅々まで旨味成分で構成されます。澄ましバターも同様ですね、製法そのものがいいとこ取りです。甘~い人参と融合してムースとしておいらのもとにやってきました。
■真鴨(新潟産)のロースト
生涯一位来ましたね。レバーのような繊維にも関わらず、噛みきれない弾力性。
塩加減が抜群で鴨自体の甘さをしっかり感じさせてくれる。少し赤さも見えるが、なんのなんの。熟成されて旨味が閉じ込められている。こんな小さい体でなんと立派なことか。飲み込みたくないですよ、ずっと口の中にいてください。付け合せのセリも見逃しちゃいけない。根まで食えるレベルの新鮮さで鴨を支えます。
■鯛のアーリオオーリオ
是非写真を見てほしい。
一見ごはん料理に見えますが、これはお米風にアレンジしたパスタなのです。梅干しなんかが入ってるのはこの名残を残してます。まさに遊び心のアイデア料理。味はペペロンチーノのようで鯛がポイントになっております。
■デザート
比内鶏の卵黄だけのクリームビリュレとベルギーの最高級のチョコ。甘いものを論ずる能力はないですが、チョコの中に抹茶が入るなどこちらにもアイデア満載。
このジャンルに縛られない独創的な発想はどこから?ご主人である高橋氏は日本料理を4、5年学んだだけで後は全て独学だとか。イタリアン、フレンチ、中華、そして何より和食のエッセンスを独自の世界観で作り上げた、秋田の巨匠といえる存在です。
※お酒メモ
お酒は日本酒の『秀よし』『酒小町』をいただく。抽選であたったという秀よしは絶品です。
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じん市
秋田県 秋田市 手形 字西谷地40-5
https://tabelog.com/akita/A0501/A050101/5008063/