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2025.10.29 昼

銀座の片隅、珈琲は静かに語る@十一房珈琲店

喫茶店・カフェ

銀座・新橋・有楽町

1000円〜2999円

★★★☆☆

銀座の裏通りに、まるで時間の歩みが少しだけ遅くなったような場所がある。そこが『十一房珈琲店』。創業は1978年。喫茶文化が爛熟していた昭和の終わりに生まれ、いまも静かに火を灯し続ける老舗だ。自家焙煎を掲げ、看板に「CAFE DE EXTRA」とあるように、ここでの珈琲はただの飲み物ではなく“特別”のひとことに尽きる。香りと余韻で勝負する、銀座の中でも異色の存在だ。

「ライトロースト」は、名の通りの軽やかさ。透明感のある液色に思わず“紅茶かな?”と錯覚するほど。口に含めばまずは柔らかな酸が立ち上がり、温度が下がるとナッツのような甘香ばしさが現れる。舌に重さを残さず、喉をすっと抜けていく。確かに“お茶みたいに飲める”という表現がぴたりとくる。浅煎りの豆をここまで穏やかにまとめるのは、技術というよりも感性の領域だろう。

合わせたのは「アマンド・キャレ」。ざくりとした食感に香ばしいアーモンドの粒立ち、外側はカリッ、中はほろり。糖衣の薄い甘さが、ライトローストの酸と絶妙なバランスを描く。

そして「ガトーショコラ」。ぎゅっと詰まったビターな生地に、添えられた生クリームがゆるやかな橋をかける。深煎りにも浅煎りにも合う万能選手で、ほのかに感じるカカオの苦味がカップをまた呼ぶ。

焙煎士の姿は寡黙だが、カップの整い方がすべてを物語る。時代に流されず、濁りのない一杯を求め続けてきた結果が、この静謐な香りに結晶している。余計な演出は一切なく、ただ“香りと温度”で語る。引き算の美学が、ここにはある。ご馳走様でした。

十一房珈琲店
03-3564-3176
東京都中央区銀座2-2-19
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13007721/

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