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2025.10.13 夜

昭和町で出会った、酢橘と塩の餃子。@餃子の店 もも

餃子

大阪市

1000円〜2999円

★★★★☆

大阪・昭和町。路地に灯る黄色いテント、その下に小さな暖簾を掲げる『餃子の店 もも』。創業は2004年と、年数でいえばまだ20年にも満たないが、店構えには不思議な“老舗の風格”が漂う。派手さはなくとも、積み重ねた時間の厚みを感じさせる空気感。暖簾のくぐり方ひとつにも、地元客のリズムが染みついている。ここには、昭和町という街のゆるやかな時間が流れている。

看板の「餃子」は、まさにその象徴。ひとつひとつが小ぶりで、つまみのように軽やか。柔らかな皮は指先で摘むとわずかに沈み、噛むともちっとした弾力を返す。片面には香ばしい焼き色がつき、音まで美味しい“パリ”の瞬間がある。中の餡は、豚肉をベースにニラやキャベツをしっかり混ぜ込み、下味をきっちり効かせたタイプ。タレに頼らずとも成立する完成度だが、この店ならではの食べ方が、酢橘と塩。酢橘の酸が肉の甘味を際立たせ、塩が全体をシャープにまとめる。しっかり味の餡に、このミニマルな組み合わせが絶妙に映える。

つまみの一品も見逃せない。「変なやっこ」と名付けられたその皿の正体は、なんとチーズ。見た目はまるで冷奴だが、箸を入れた瞬間に広がるのは乳の香りと塩気。鰹節、葱、生姜、醤油という王道の薬味をまといながら、舌に残る余韻は完全に洋の風。豆腐のようで豆腐でない、この“だまし絵”のような一皿に、思わず笑ってしまう。餃子の合間に挟めば、チーズのコクが酸味と香ばしさをやわらかく受け止め、食卓に新たなリズムを生み出す。

お通しの「三つ葉の胡麻和え」と

「野菜スティック」もいい。どちらも素朴で、味の輪郭がはっきりしている。強い餃子の味を支える、控えめだけど確かな脇役たちだ。

『餃子の店 もも』。小ぶりな餃子をひとつ頬張れば、焼きの香ばしさと餡の旨味が口いっぱいに広がる。気取らず、肩の力を抜いて楽しめるのに、どこか芯の通った味。酢橘と塩を添えるだけで、ぐっと景色が変わる。変なやっこをつまみに、ビールをひと口。気づけば餃子の皿が空になっている。そんな店だ。昭和町の夜に似合う、飾らないうまさ。ご馳走様でした。

餃子の店 もも
06-6622-8063
大阪府大阪市阿倍野区阪南町1-46-8
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270203/27008027/

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