2025.06.01 昼 一杯に詰めた、二つのうどん文化。@うどん家 一 うどん 所沢・飯能 1000円〜2999円 ★★★★☆ 小手指の住宅街に行列をつくる『うどん家 一』。2011年3月、店主・鈴木一孝が立ち上げたこの店は、その名の通り“一本気”なうどん道を突き進む場所。「一」という屋号は、自らの名をそのまま掲げたシンプルなものだが、まっすぐな姿勢と実直なうどん作りが、名店としての風格を漂わせる。 この店の持ち味は、讃岐うどんと武蔵野うどん、ふたつの文化を融合させた“クロスオーバー”。出汁には武蔵野の力強さ、麺には讃岐の繊細さ。対照的な要素が、一杯の中で不思議な調和を見せている。 うどんは細めで、つるりとした肌としなやかなコシ。讃岐の流れを感じさせるツヤと喉越しがあり、小麦の香りと塩気がじんわりと広がる。武蔵野うどんにありがちなワシワシ感はなく、いい意味で“武蔵野っぽくない”。対してつけ汁は、しっかりと武蔵野スタイルを守っている。豚バラの甘みが出汁に染み出し、濃厚なコクが口の中を包み込む。 このスタイルを築いた背景には、鈴木の異色のキャリアがある。もともとは介護士として働き、イタリアンの厨房も経験。その後、武蔵野うどんの名店「藤店うどん」で出汁の技を学び、讃岐うどんを掲げる「元喜」で製麺技術を身につけた。さらに小麦粉卸業を営む父の背中を見て育ち、素材への目線も自然と磨かれている。武蔵野と讃岐、そして小麦との縁——すべてがこのうどんに結実している。 武蔵野と讃岐が手を取り合った一杯。文化と技術、素材と記憶が、自然とひとつにまとまっている。並んででも食べたいと思える理由が、そこにある。体がまた食べたくなる。うどん家 一は、その衝動に応える場所だ。ご馳走様でした。 — うどん家 一04-2008-1501埼玉県所沢市小手指町1-29-3https://tabelog.com/saitama/A1106/A110601/11026435/