2025.05.26 夜 ビジュアルに惚れて、構成力に唸る@伊之瀬 ラーメン・つけめん 新宿・代々木・大久保 1000円〜2999円 ★★★★☆ 新宿駅南口、喧騒の街を少しだけ離れた先に、静かに佇む『伊之瀬』。木の温もりを湛えた落ち着いた店構えに、ふと“ただ者じゃない感”を覚える。調べてみれば、やはり納得。この店は「らぁめん小池」グループが手がける9店舗目。代表・水原裕満氏率いる株式会社イノセンスによる新店舗であり、若きラーメンクリエイターの感性が詰まった一軒なのだ。「伊之瀬」の店名も社名に由来するのであろう。 看板メニューは「特上昆布水つけ麺」。しなやかに整えられた麺線の上に、チャーシューのみがぽん、と重ねられる。その潔さがむしろ美しい。味玉も海苔も柚子もない──ただチャーシューと麺、そして昆布水。その静けさが、逆に期待を高めてくれる。中細ストレート麺は、つややかで啜り心地がよく、昆布水のぬめりと旨みが麺そのものの個性を引き立てる。まずは藻塩で、麺そのものの香りと旨みを確かめる──その導入がすでに洗練されている。 そこに続くのは、驚くほど多彩な“つけ汁”の世界。王道の「魚介スープ」は香り高く、つけ麺の基礎力を感じさせる一杯。そこに「東京クラシック」と銘打たれた、甘酸と胡椒が効いたスープが加わると、一転してノスタルジーの風が吹く。「冷やし豆乳担担」は、まろやかな胡麻の香りと程よいスパイスが中毒性を生む。そして、「なめこおろし」の冷製スープは清涼感の極み。しかも、それぞれに専用のトッピングが添えられており、単なる味変ではなく、構成美としての完成度がある。 箸が止まらぬまま、気がつけば麺が足りない……と思わせるほどのバリエーション。だが安心を。ここでは大盛りも替え玉も快く応じてくれる。企画性の高さとビジュアルの美しさ、そして味の奥行き。インバウンド客も多く見かけるのは、この完成度に世界が気づき始めているからだろう。多様性の街・新宿に、またひとつラーメンの新たな旗が立った。ご馳走様です。 — 伊之瀬東京都渋谷区代々木2-20-19 新宿東洋ビル 102https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13300048/