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2025.05.17 夜

味噌の奥底から、サルベージせよ。@へんこつ

居酒屋・定食

京都市

1000円〜2999円

★★★☆☆

京都駅のすぐ近くにぽつんと暖簾を掲げる『へんこつ』。その素っ気ない外観に反して、店内に一歩足を踏み入れれば、鼻腔をつくのは濃厚な赤味噌の香り。ここは“大鍋食べ処”の看板を掲げる、京都ディープグルメの聖地だ。

この店の名物は、なんといっても「サルベージ」。厨房の大鍋に仕込まれた味噌煮込みの底から、牛すじ、テール、モツをすくい上げて提供する——まさに名前の通り“掘り出し物”の一皿。濃厚な赤味噌がしっかりと染み込んだ具材たちは、見た目こそ重たそうだが、実際の口当たりはどこか軽やか。脂の旨味を赤味噌の塩気がうまく包み込み、酒を誘うバランス感がある。

そこに追加されていくのが「おでん」たち。豆腐、ごぼ天、ちくわ、厚揚げ、竹の子——定番の大根や玉子が見当たらないのも、『へんこつ』らしい“へんこつ”な矜持。これらもまた、大鍋の中の味噌の海へと沈んでいる。つまり、おでんは単なる副菜ではなく、味噌煮込みのパーツとして再構成されているのだ。

そして「テール」。巨大な骨付き肉が器からはみ出すほどに盛られ、肉はほぐすまでもなく自然と崩れる。味噌の旨味、骨の髄、ゼラチン質のとろける食感——この一品で夜が終わっても後悔はない。

カウンター中心の店内には常連がひしめき合い、静かに味噌を啜る音が交錯する。京都駅徒歩5分の距離に、これほど“地元の温度”を感じる場所があるとは思わなかった。『へんこつ』は、赤味噌という素材に徹底的にこだわり抜いた、一汁一魂の大鍋酒場だ。煮込むことで生まれる調和、そこからすくい上げる偶然。それを「サルベージ」と呼ぶセンスにも惚れてしまう。ご馳走様でした。

へんこつ
070-1734-0088
京都府京都市下京区木津屋橋通烏丸西入ル東塩小路町579 あすなろビル 1F
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260101/26000797/

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