スペイン料理と聞くと筆頭にでてくるのは「パエリア」でしょう。その他アヒージョ、トルティージャ、シェリー酒なんかのイメージでしょうか。あまり洗練されたイメージはない。
いや、「世界一予約が取れないレストラン」と呼ばれた伝説の「エルブジ」はスペインにあった。さらにスペインのサン・セバスティアンはミシュランの宝庫とも呼ばれるほどグルメな街として美食家を集める。これらをスペイン料理と呼ぶかは別の議論として、スペインが熱いことは間違いがない。
本日訪ねた神戸にもスパニッシュでミシュランの三ツ星を獲得した店がある。名前は『カセント』。ミシュランを正義とは言わないが世界が注目しているという点では疑う余地がない。
落花生を使った一口サイズのクッキー、スペイン産の生のアーモンドのガスパチョでお出迎え。
花びらをチーズで接着剤にして味覚と視覚の双方を満足させます。スープからはニンニクの香りがほのかに感じされ空腹を刺激する。スターターとしては花丸だ。
淡路の由良の赤雲丹と毛蟹とハーブ。
雲丹自体の塩加減と柑橘の香りと絶妙に絡みつきます。これ丼で食べたい。笑 もしくは日本酒が欲しくなるような一品だ。
皮目を香ばしく焼いた淡路島の鱧。下には玉ねぎを刻んだものとケッパー、上にはスライスした島らっきょう。
ふっくらした鱧にたいして、甘い玉ねぎと全体をしめるケッパーなどそれぞれが役割を果たす。アクセントとなるマリーゴールドは小さいのにその存在感は大きい。
カセントお馴染みのタパス盛り合わせが登場。これテンション上がります!
透けるほど薄くスライスされたアンチョビが感動的。クルトンとフレッシュチーズでいただきます。黒にんにくとジャガイモのピューレが、秋刀魚のマリネとの抜群の相性を発揮します。
その他、剣先烏賊と焼き茄子、明石の鯛のシェリーのジュレ寄せ、ツバスといんげんのピューレ。
さらに、この鴨ブータンノワール的なサムシングが美味!!まるで溶けるような食感に鴨のフレッシュな旨味が飛び込んできます。臭味とここまで無縁とは、、、これ3メートルくらい食べられます。笑
続いてフォアグラとイチジクのチュイル。メレンゲ、ビンテージである80年代のベルモットロッソのジュレ、ドライイチジクと層を作る。
時間をかけて火入れしたフォアグラのレア感がたまりません。
メインの魚、肉、米につづく最後の休息所はサラダ。
蒸したり、焼いたりと野菜ごとに調理法を変えて表情を作っている。野菜30種くらい入ってるのではないだろうか。丁寧な料理には頭が下がります。これで、準備はできた!!
魚はのどぐろと銀杏のソテー。山口産。尋常じゃない水分量が保存され、イコール旨味となって舌から鼻やら喉へと抜けてく。
きゅうりのマリネやハーブの力が脂を中和させ、その食後感を爽やかに仕立てます。
肉はジビエ。ラカンの鳩だ。言われるまで何の肉かわからないほどすっきりした味わい。ジビエが苦手な人でも食べれそうだ。
少々物足りない印象もあるかもしれないが、モロヘイヤや冬瓜のピューレが味のエッジを作ります。
米は、魚介のオジャ。ようやくスペイン料理を意識できた!日本のおじやの原型になったとされる「オジャ」
甲殻類を中心とした魚の出汁がたまりません。スペイン料理には感謝しないといけない。
最後はデザートが、バン!バン!バン!プラムのシャーベット。フォンダンショコラ。バターナッツ。すいません、甘いものが得意ではない上に酔っ払ってるのでご容赦ください。
結論からいえば、素材のよさを隅々まで生かして研ぎ澄ました料理は、スペイン料理という範疇を超えている。「カセント」料理を提供するレストランと見るべき。そう、まるでセバスティアンの店の1つかのように。
素敵な会に呼んでくださったM先生、素敵なお仲間の皆様、ありがとうございました。
集合写真と飲み干したワインのラインナップはこちら!
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カセント
050-5595-3465
兵庫県神戸市中央区中山手通4-16-14
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280102/28009509/