「おいしい」を、
すべての人に。

検索

2025.12.29 夜

金沢のつまみ力、只者じゃない@炭魚酒菜 わなか

居酒屋・定食

金沢

5000円〜9999円

★★★☆☆

金沢・安江町に構えるのが『炭魚酒菜 わなか』。創業は2015年7月21日。金沢の人気居酒屋「いたる」で修行を積んだ店主が独立して開いた店で、観光地のにぎわいから少し離れた路地にひっそりと佇む一軒。ここで味わえるのは、金沢らしさを大切にした季節と地物のつまみたち。料理の組み立てからも接客の温度感からも、地元と旅人の両方に寄り添う優しさがにじむ。

料理は、まず「お通し」から北陸の表情が豊かに広がる。甘みをふわりとまとった「甘海老」、しっかりとした歯応えの「蛸」、味の芯まできっちり染みた「大根」、ほくっとした「加賀蓮根」。土地の味覚をミニマルに伝える構成で、地酒を呼び込むには十分なインパクト。

そこから加賀野菜の代表「金時草のおひたし」へ。ぬめりと仄かな苦味を、削りたての鰹節がまろやかにまとめる。派手さのない料理ほど、丁寧な仕事ぶりが際立つ。

つまみの中で最も酒を誘ったのが「ふぐ子ぬか漬け」。北陸独特の発酵珍味で、ぬかの風味と強い塩気がクセになる。一口でぐっと日本酒のピッチが上がる、まさに呑ませる肴。

「ぶり刺し」は北陸の冬の王道。厚切りで提供される寒ぶりは、脂の旨味と、しっかりとした身の弾力を併せ持つ。炙りを加えた一片が含まれる構成で、香ばしさのアクセントも心憎い。

意外性と満足感を同時に引き出したのが「甘海老クリームコロッケ」。衣の中から溢れ出すクリームは濃厚で、まるで海老のビスクのよう。添えられた「自家製の海老塩」がこれまた秀逸で、塩気と香ばしさが甘さをグッと引き締める。こういう“揚げもの”の仕事で力量が見えるのは、居酒屋の世界では定石だ。

そして締めに選んだのが「ごま焼きおにぎり」。炭火で香ばしく焼かれた表面と、胡麻の風味が香る米の甘み。中から顔を出す梅干しの酸味が、夜の最後にちょうど良い引き締めを演出してくれる。

『炭魚酒菜 わなか』は、北陸の“うまいもん”を無理なく自然体で届けてくれる良店。肩肘張らずに郷土の味を味わいたい夜には、ちょうどいい距離感の酒場だ。そして──いたる出身と聞けば、そして「炭魚」を冠する屋号を見れば、「のどぐろの炭火焼き」は外せない。だがこの日は、無念の売り切れ。次回の宿題として、取っておきたい一皿となった。ご馳走様でした。

炭魚酒菜 わなか
076-255-0688
石川県金沢市安江町18-5-1
https://tabelog.com/ishikawa/A1701/A170101/17009717/

エリア

ジャンル

価格帯

評価

月別アーカイブ