2025.08.30 昼 蕎麦を食べるから、蕎麦を体験するへ@石臼挽き蕎麦香房 山の実 そば 長野・志賀高原・北信濃 1000円〜2999円 ★★★★☆ 信州・須賀川の山あいに佇む『石臼挽き蕎麦香房 山の実』。古民家のような趣を想像していたが、実際に目の前に現れたのは、長野の山間の空気にぴったりなペンションのような佇まい。扱う蕎麦は地元・須賀川に加え、隣県・富山南砺の実りも。すべてを店内で皮むきから石臼挽き、打ち、茹でまで仕上げる徹底ぶりで、店名の「山の実」が語る通り、山の恵みをそのまま皿へと届けてくれる。 まずは「手挽きそばがき」。粗挽き粉を水だけで練り上げ、むっちりした弾力の奥に粒感がゴロゴロ。蕎麦の野趣をそのまま抱え込み、塩と山葵で引き締めると、力強さがぐんと立ち上がる。 次に「生粉打ちそば」。朝に石臼で挽いた丸抜きの実を、冷水だけで打ち上げた一枚。細打ちながら香りは鋭く、喉越しは瑞々しい。噛むほどに甘味が広がり、つゆの透明感ある旨味が寄り添う。シンプルでありながら説得力抜群の一皿。 ユニークだったのは「石窯焼きそばピッツァ」。生地はそば粉100%、直径30センチを薪窯で一気に焼き上げる。極薄のクリスピーな仕上がりに、そばの香ばしさがダイレクトに伝わる。「須賀川そばピッツァ」では、そばの実を散らして素材の素朴な力をそのまま表現。 「アンチョビのそばピッツァ」では、発酵の塩気とそばの香りが絡み合い、和と伊が自然に同居してしまうのが面白い。 ここでの体験は、蕎麦の可能性を広げる時間。王道の生粉打ちで香りと喉越しを堪能させながら、そばがきで素朴な力強さを伝え、石窯ピッツァで意外性と遊び心を見せる。ひと皿ごとに表情を変えながらも、芯には蕎麦という一本の軸が通っている。蕎麦の名所・信州にあって、ここでは食べるだけにとどまらず、蕎麦という存在をまるごと体験させてくれる。そんな特別な一軒。ご馳走様でした。 — 石臼挽き蕎麦香房 山の実0269-33-7577長野県下高井郡山ノ内町夜間瀬11700-315 北志賀ホリデーイン内https://tabelog.com/nagano/A2001/A200104/20000397/