2025.08.22 夜 探究を重ねて見せる、日本料理の次なる姿@新ばし 星野 日本料理 銀座・新橋・有楽町 50000円〜 ★★★★★ 銀座からもほど近い新橋の路地に佇む『新ばし 星野』。料理人・星野芳明氏は、日本料理の最高峰と謳われた名店「京味」で十二年の修行を積み、その薫陶を受けて2012年に独立。以来、瞬く間に「日本最高峰の日本料理店」として広く認知され、今では予約困難店の代表格に位置している。 にもかかわらず、星野氏は研鑽をやめない。出汁の研究のために毎年礼文島を訪ね、昆布の源流を学び続ける。さらには新潟の鴨料理の名店に足を運び、仲間と勉強会を重ねる星野氏の姿を目にしたこともある。頂点に立ちながらもなお高みを目指す探究心。その姿勢こそが『新ばし 星野』を唯一無二の存在へと押し上げているのだ。 冒頭の「冷やし素麺」は氷で締められた細い糸が喉を駆け抜け、生姜と茗荷の清涼感が夏を映す。 続く「新銀杏」はほっくりとした食感に塩を効かせ、次の料理への導入に最適。 「鱧の炙り」は自家製梅干しと合わさり、香ばしさと酸味が重なって京の夏を想わせる。 「芋茎の吉野煮」は定番ながら安定感抜群。 さらに「鮑」は味付けを排し、そのものの旨味と余韻を堂々と示す。 「肝」を揚げて供する趣向は、他で出会ったことのない驚きだ。 「ぐじ」や 「玉蜀黍」の天麩羅は軽やかに仕上げ、油の存在を感じさせない。 清らかな「キジハタ」と「車海老」の洗いが流れるように続き、 「鰻と冬瓜」では、香りを主体に仕上げた出汁に、強い塩で引き締めた鰻の旨味がじわじわと溶け出す。その重なりによって初めて料理が完成するのだ。 そして「鮎」。富山から届いたものを骨抜きにし、筒で頬張るよう指南される。頭から尾まで一気に食べれば、香ばしさと川魚ならではの涼感が一気に広がる。こうした食べ方の提案すらも料理の一部なのだ。 「鰊茄子」では濃いめに炊かれた鰊とシンプルな茄子を一緒に頬張ることで完成するバランス。お椀と同じ思想が貫かれている。 食事は「牛しぐれ煮」「鰹節卵黄」「昆布茶漬け」。気づけば夢中になっていて、手元には鰹節卵黄の写真しか残っていなかった。笑 それほどに食欲をかき立てる存在感があったということだろう。 全体を通じて印象的だったのは、出汁と具材の役割をあえてずらすことで、時にガツンと、時にしみじみとした美味しさを同居させていたこと。素材を生かすだけでなく、構成によって満足感を高める。まさに一つ上のレイヤーに到達していると感じさせられた。ここには、日本料理の未来を背負う確かな研鑽と、唯一無二の美学がある。訪れる人を必ずや魅了してくれるだろう。ご馳走様でした。 — 新ばし 星野03-6450-1818東京都港区新橋5-31-3https://tabelog.com/tokyo/A1314/A131401/13136847/