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2024.04.22 夜

今ローカルガストロノミーが面白い。今宵、鎌倉を食う。@鎌倉 北じま

日本料理

鎌倉・湘南

30000円〜49999円

★★★★★

いま、ローカルガストロノミーが面白い。

どの地域でも独自の歴史や風土を持つものだが、そのストーリーまでも料理の一部として積極的に組み込む試みだ。地産地消もまたその1つだが、更に1つ進んだ考え方と言っていいでしょう。情報までも食べる現代においてレストランのストーリメイキングは重要だが、ローカルガストロノミーにおいては特に重要だ。その土地でしか味わえない、その土地のテロワールを感じる料理、これが人々を惹き付けるのです。

前段が長くなりました。今宵いただくのは鎌倉のテロワールでございます。

舞台は『鎌倉 北じま』、自然に囲まれた古都にぴったりな数寄屋造りの店舗になっております。大将は鎌倉出身にして、京都の和久傳グループで16年もの期間を修行にあてた人物。鎌倉に京都のエッセンスを持ち込むのではなく、あくまで京都で学んだ技術で鎌倉を料理しております。例えば、魚介はすべて三浦半島を拠点とする魚仲買人の長谷川大樹氏からの仕入れ。全国からの仕入れを希望されるが、地元のスターのためとあれば一層力が入るのでしょう。素晴らしい素材達がコースを華やかにしております。

さっそくコースの内容をご覧にいれましょう。

「鯛かぶら」骨も頭も全て出汁にした香り豊かな出汁に甘味のあるかぶらの組み合わせ。なんと品の良い料理か。

「ブダイの手巻き寿司」相模湾のブダイを使ったものだが、あまり積極的に使われる素材ではない。これを見事に使用するのにとどまらず、皮や鱗までも上手に活用します。サステナブルの掛け算にして美味。

「金目鯛」長井漁港より。1キロアップの個体だそうだが、その脂の甘味の強さに驚き。鮮度の良さももちろんだが、温度を上げたことも甘みを引き出す因子になっているのでしょう。

「黒ムツ」目の前で炭を押し当てて仕上げ。透明感というより、透明な身質にびっくり。これも処理の良さによるものだとか。こちらも、温度あげて、ぐっと甘味を引き出します。

「蛤の沢煮椀」多くの食材を千切りにした汁物だが、特に根菜類の味わいが強烈な蛤の旨味スープの中に落ちております。

「ポテトサラダ」もちろん普通のポテトサラダではない。ポテトの代わりを豆腐が担当し、しっかり日本料理クオリティーに仕上げております。素揚げのバジルが味にも見た目にもアクセント。

「太刀魚」美しく大きな鎌倉彫の火鉢が登場。これで火入れされた太刀魚には、梅のスープを合わせます。この出汁のレベルの高さは、太刀魚の下で出汁を吸った大根餅が証明します。ちなみに、東京湾に到達する前に太刀魚は脂が乗る前らしく、これがすっきりした味わいを作っております。

「鮟鱇」鮟鱇の身のフライの上で、鮟肝をソースに。身はぶりんぶりんの食感が、鮟肝を楽しむ猶予を作ります。強い味わいは木の芽でバランス。

「高野豆腐」たっぷりの山菜と合わせて。湘南ゴールドのゼリーとか使っちゃうのが、北じまらしさ。

ここからは怒涛の食事タイム。

まずは、「焼肉定食」。葉山産の牛肉を卵黄ソースで。ユニークなシェフの人柄もうかがえる、そして、誰しもが大好きな定食仕立て。笑 

この後も、地元の個性なのでしょうか。ちょいちょい、いい意味でズレてるのが面白い。棒寿司は鯖ではなく鯵だったりね。

「鯵の棒寿司」

「キハダマグロの漬け丼」

「鮟鱇ラーメン」

そして、最後のデザート。ここにも鎌倉のストーリーが込められる。この時期に開催される鎌倉祭の中で披露される静の舞。

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義経への恋慕を歌った「吉野山 峰の白雪 踏み分けて 入りにし人の 跡ぞ恋し」、この歌を器や料理で表現したものなのです。

やはり、ローカルガストロノミーが面白い。鎌倉のテロワールをぜひお楽しみください。ご馳走様でした。

鎌倉北じま
0467-73-7320
神奈川県鎌倉市大町4-3-18
https://tabelog.com/kanagawa/A1404/A140402/14083457/

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