渋谷の喧騒を抜けた文化村通りにある中華料理店『中華寝台(Chinese bed)』へ。
街の雰囲気とは打って変わって、モダンでシックな空間で迎えてくれます。シェフはまだ30代前半ながら経験も十分。南青山の中華「エッセンス」に長く勤務した本格派だ。
屋号の由来は、お酒と料理が楽しめる中華という意味を込めてBar&Dishの頭をとってBedとのこと。そのままだと少しライトな感じになってしまうところを漢字に変換してのネーミングらしい。お酒と料理を掲げたのは、国際薬膳調理師やソムリエの資格を持つマルチタスカーであることも無縁ではないでしょう。
修行先も薬膳中華を標榜していたが、上笹シェフもこれを積極的に取り入れる。コースの最初に「香りの玉手箱」と称した枇杷の葉を使ったお茶を提供し、これが胃の調子を整え、コースの準備をさせてくれます。全体的に和食のような軽やかなタッチが印象的。
料理のラインナップはこちら。
「前菜盛り合わせ」
細長い器の皮蛋豆腐から時計周りに、押し豆腐の雲丹乗せ、チャーシュー、秋刀魚と筍の生春巻き、水タコ、よだれ鶏、そして中央に帆立が設置されます。こだわりの紹興酒とともに、シェフの引き出しの多さを語る盛り合わせを。
「毛蟹焼売」
蟹味噌を浮かべたモダンなルックス。葱油の味が満足感を作ります。
「春巻き」
中身は鱧松。土瓶蒸しをそのまま包み込んだようなアウトプット。松茸の旨味成分をしっかりキープできた逸品です。
「蒸しスープ」
季節の薬膳を使ったスープ。
「北京ダック」
パリパリの食感が素晴らしいと思ったら、極細のカダイフの揚げ麺が入っており、これがパリパリを助長しております。それでも軽いタッチで食べれるのがポイント。
「ビーフン」
青ネギソースと和えたビーフン。ここに甘海老とキャビアを重ね、パプリカとシークワーサーのソースを彩りと風味を作ります。目にも舌にも楽しい一皿。
「山形牛リブロースのスープ仕立て」
薬膳経験あってのアイデア料理。火鍋風のスープを仕上げに。結果、ビブロースはしっとりとした火入れが実現し、火鍋の薬膳的な要素と刺激的な辛味が握手して、中華らしい味わいに。マコモダケや黄韮と参加。
「フカヒレ煮込み」
同店のスペシャリテ。気仙沼産のフカヒレをパイタンスープで。黒酢の力もあってか、濃厚なのにすっきりした食後の感を作ります。
最後に食事が4種類。デフォルトは炒飯だけだが、お腹の具合で選べる仕組み。
「炒飯」実にシンプルなアウトプット。
「麻婆豆腐」
初めて王道の中華を食べた気がする。笑 シンプルがゆえに実力の高さをはかる指標になります。
「冷やし坦々麺」
夏にぴったりな締め料理。
「カレー」
辣油を使った中華なカレー。やはり野菜のエッセンスが強い。
デザートには杏仁豆腐とココナッツ団子。
これだけのコース設計で、腹八分目な印象にも驚き。ポーションももちろんですが、過度な味付けがないことも理由の一つでしょう。
ご馳走様でした!
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中華寝台
03-3476-6120
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷デリタワー 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13240037/