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1時間に一本の島原鉄道に揺られて、島原半島の雲仙市にある『villa del nido(ヴィッラ デル ニード)』を訪ねます。
”nido”とはイタリア語で「巣」という意味ですが、どうやら故郷というニュアンスで使っているようだ。福岡のイタリアンや本場イタリアで修行後、独立の地の選んだのが地元の国見町。しかも、シェフが生まれ育った実家の隣だ。人生の基点となった土地、これ以上故郷のテロワールに根差した店も少ないだろう。笑
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歴史や文化をコースに組み込むローカルガストロノミーでは、当然のように地産の食材を積極的に活用する。逆説的に言えば、地元のもの以外を使うとたちまち説得力を欠いてしまうもの。そういう十字架を背負うが、シェフの吉田貴文氏はむしろこれを楽しみ、ポジティブに料理を仕上げる。制限がある中だからこそ生まれるクリエイティビティーがあるのだ。以前、建築家の谷尻誠氏と会話をした時に、崖とか洞窟に作る建築物が面白いというコメントがあったのを思い出したが、この制限がクリエーターの挑戦心を刺激するのでしょう。
コースのラインナップをご紹介してまいりましょう。
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「湧水パン」
湧水で作った自家製フォカッチャ。
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「突出し」
地産の玉ねぎの料理。オリーブオイルたっぷりで華やかな風味のスターター。
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「味重」
海沿いの街のレストランらしく、新鮮さを感じるいかった食感のキジハタの料理。レモンの酸味のある味噌ソースに合わせます。更に、仕上げに猪の削り節を重ねているが、この動物系の旨味がかなりポジティブ。レモンの酸味や生姜のサラダと調和していきます。味の重ね方がお見事。
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「モリ突き海中神経締め」
モリで突いてそのまま神経締めするという、これ以上ない鮮度を保ったアジアコショウダイ。これをフリットにしておりますが、河豚のようなぶりんぶりんな食感に驚かされます。油なのか、脂なのか、その両方なのか、ジャンクさすら感じる強い味わいです。更に、スパイスの香りの強いペーストで味変すれば、更にパンチ力を増していきます。純粋にめちゃくちゃ美味いっす。
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「初夏」
初夏を感じさせるのはズッキーニ。ソテーしたズッキーニ、麹と合わせたズッキーニのソース、最後に昆布締めしたズッキーニのマリネを重ねます。こう貝で食感を足してみたり、昆布の旨味を足したり、香ばしさを足してみたりと、あっさりしたズッキーニに見事にニュアンスを作り出しております。
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「素麺」
島原が誇る手延べの極細素麺。玉葱をスープ状にしたもの中には地産の車海老。スープの甘味だけでも十分に美味いが、ここに自家製の唐墨や唐辛子のピクルスを重ねるのがにくい。
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「親鶏昆布」
炭火で炙った地元の水烏賊にキャベツとモロヘイヤ合わせます。これだけでも成立するが、タイトルになっている親鶏と昆布のソースが絶品。親鶏はとても使いづらい食材だが、蒸して発酵させて昆布を合わせたソースが、適度な塩気を伴った圧倒的な旨みを提供してくれます。きっかけは仕入れ先から親鶏をなんとかしてほしいという依頼から始まったそう。制限があるからこその面白さ。
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「粉物」
もちろんイタリアンの粉物はパスタでしょう。ラビオリの中身は、ジャガイモ、フレッシュチーズ、いりこ。口溶けの良さに思わずにやけていまいます。ここでいりこが登場するのが島原半島らしさか。動物系の旨味のシェアが多い中でバランスをとっております。粒胡椒もいいアクセント。
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「肉」
島原で一軒だけ作っているというサフォークのラム。郷土料理ばかりでなく、一緒にチャレンジしている生産者と協業していく姿も好感度が高い。12ヶ月と長めの飼育期間なので、肉質がしっかりしております。
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「デザート」
ひとつめのデザートは口直し。自家製発酵ミルクに橙の葉っぱで作ったシャーベット。ミルクだけだと口直しにもならなそうだが、シャーベットがしっかり機能しております。
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「デザート」
もうひとつのデザートは、チョコレートとグラッパで仕上げたプリン仕立て。シナモンに漬け込んだ干し芋を重ねます。
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ご馳走様でした!
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villa del nido
0957-73-9713
長崎県雲仙市国見町多比良甲313-2
https://tabelog.com/nagasaki/A4203/A420301/42009254/