2022年12月、浜松に焼鳥の新星『焼き鳥幸羽』が登場した。ビルの間の小道の先にあるのだが、見つけた我々の気持ちを代弁するかのように”あっ!ここだ!”という看板が設置されております。笑 さて、今回は大仰なタイトルを付けたわけだが、どんな風を吹かせているのか、ご紹介させていただきましょう。
まず、その出自。同エリアで高い評価を獲得する「勢麟」の鰻業態に続くグループ店となる。その証拠と言わんばかりにカウンターの向こうには、同店の看板と同様の欄間の姿を見ることができます。普通の焼鳥店ではない出自が新しさを生むのだろう。素材もまた新しい。名店での焼鳥店では雌を使うことが多いが、積極的に雄も採用しているのが特徴の1つ。同じくひね鶏(卵を産み尽くした雌鶏)を使うのも珍しい。しっかり素材を理解して、適切なアプローチで提供してくれるのだ。
それでは、コースをスタートしていただきましょう。まずはお料理から。いずれも中華エッセンスを感じるアプローチ。
「烏骨鶏のスープ」雲南省の汽鍋鶏のようなアプローチ。塩を使わずに素材の味のみを楽しませる。生姜の風味をほのかにまとわせて。ちなみに、これが雄で作った料理だ。
「鶏焼売」天城軍鶏に菜の花を練り込んだ焼売。自家製というポン酢と菜の花の苦味がいいアクセント。
「バンバンジー」低温調理の胸肉。ソースは甘味と辛味のバランスの取れたもの。地元静岡で土壌栽培で育てたというマイクロハーブをたっぷりと乗せて。
串は、天城軍鶏と愛知県の銘柄鶏である鶏一番がメイン。ちなみに、後者の場合は屠殺場が浜松市内にあって、朝挽きの新鮮な素材を仕入れられるそうだ。随所に山葵も登場させるなど、静岡らしさもポイントになっております。
「もも肉」天城軍鶏。先頭は雌、後尾は雄。脂は前者に、歯応えは後者に優あり。
「抱き身」天城軍鶏。少し火入れが強い印象があったが、皮がうまく補完しております。
「たたき」天城軍鶏。皮目の焦げめが美味い。山葵がいいね!
「人参」焼き芋みたいな香りに、甘さ抜群の味わい。静岡の素材の素晴らしさが伝わります。
「レバーパテ」朝挽きのレバーをパテに。1つは、きび砂糖をまぶして炭で直接キャラメリゼ。もう1つは玉葱のピクルスと。
「茶碗蒸し」天城軍鶏の出汁と烏骨鶏の卵。具も入れぬシンプルなアウトプット。
「ねぎま」天城軍鶏。
「砂肝」天城軍鶏。
「聖護院蕪」無農薬で甘味の強い蕪。味噌にも天城軍鶏を。
「うずら玉子」浜名湖ファームより。とろける食感!
「レバー」朝挽き
「つくね」ここでひね鶏登場。浜北コーチンのひね鶏と天城軍鶏の合い挽きだとか。ソース代わりにエシャロットと塩昆布を和えたものを。ソースの強い風味に、ひねどりの強い食感が互角に戦う。
「手羽先」天城軍鶏。
締めの食事は2つ。「鶏飯」は炭の香りをたっぷりまぶして、やはり菜の花の苦味を上手に合わせる。
この味ご飯に「コンソメスープ」をかけたのが2つ目。天城軍鶏の清湯スープにスパイスを重ねたスープをかければ、たちまち上品なスープカレーに。
焼鳥に持ち込む様々なアプローチに、焼鳥の常識を覆すアプローチをご覧いただけただろうか?ちなみに、大将を含めてスタッフの多くが、別ジャンルもしくはグローバルに働いたそうだが、それも偶然じゃない気がします。これは焼鳥界に新しい風を吹かせそうだ。その風に乗って幸羽は羽ばたくことだろう。
—
焼き鳥 幸羽
静岡県浜松市中区千歳町6 コートクビル 1F
https://tabelog.com/shizuoka/A2202/A220201/22040511/