蓮沼駅から徒歩1分にあるお好み焼き店『福竹』。強烈な個性を持って客を引き寄せる、東京が誇るお好み焼きの名店だ。その個性の中心にいるのはズバリ女将さん。圧倒的なコミュニケーション方法に賛否もあるが、全てはお好み焼きへのこだわりに集約される。女将さん言うこと為すこと、それがこの店の個性なのだ。ちなみに、接客を担当するのは女将さんと娘さん。北風と太陽を思い出すような、接客のコントラストがまた福竹のエンターテインメントになっております。
代表的なルールをご紹介しておきましょう。
「お好み焼きを触ってはいけない」
お好み焼きを含めて全て料理に手出しは無用。これが一番大切なルール。普段でもお好み焼きの焼き加減って難しいですからね、最高の料理は素人には作れません。
「お好み焼きは最初に全ての注文をしなくてはいけない」
女将さんと娘さんで5卓の調理を全て行うのだから、効率的な運用には協力しましょう。もちろん、鉄板の温度のコントロールにも理由があるようです。
「焼き時間のタイミングを報告しなくては行けない」
片面を10分焼いたら女将さんに報告、もう片面を7分焼いたら女将さんに報告。これも効率的な運用のため。美味しいものを作るための共同作業だ。むしろ、都内随一のお好み焼きの調理に関われていることを誇りを持ちましょう。笑
ルールを理解したら注文してみましょう。
「ふくたけ天」と「ふくたけチーズ」を注文。もちろん最初に2つ同時にお願いしております。お好み焼きの最大の特徴は、生地の小麦粉の含有量が限りなく少ないこと。こうして粉物という定義を否定したくなるほどの軽さに仕上がります。細切れのキャベツや混ぜ方もあってか、さらに軽さを強調するほどふんわりと空気を含んでおります。
片面焼いた後の様子がこちら。
結構焦げたニュアンスに驚くが、食べればネガティブな苦味などのない絶妙な火加減。中のふわふわとのコントラストを作るカリカリな食感が作られております。ソースもたっぷりとつけるのだが、不思議なほど素材を感じさせる。豚肉やキャベツの甘さがこれほど明確なお好み焼きも多くはないだろう。日本料理に共通するような素材型のお好み焼きなのだ。
普段のお好み焼きではマヨネーズに積極的だが、福竹では必要性を全く感じません。チーズ入りのほうは、その塩気がジャンクよりのアウトプットを作ります。
お好み焼きには時間がかかるので、時間的にもスペース的にもバター焼で埋めましょう。もちろん、これの調理を担当するのも我々ではありません。一番人気の必食メニューは「はんぺん」。ふわふわのはんぺんはやはり素材型で、魚のすり身であることを再確認できるもの。
焼いた香ばしさだけを調味料にしてもいいが、マヨネーズと青海苔を焼いて作るオリジナルドレッシングがまた美味い。素材型の料理を一変させるジャンクさが堪らないのです。
個人的には大葉と柚子胡椒と食べる「山芋」もオススメです。
お腹に余裕があれば、最後は焼きそばで〆ましょう。
焼きそばでも同じ印象。弱火で豚肉に火を入れて、甘みを引き出す。塩は最後までふらずに、キャベツの甘さをキープする。仕上げの塩が甘さを引き出し、胡椒がアクセントを作り、最後に少しの味の素が旨味に頼る。いつもは麺が主役であってほしいと思うが、具材達が主役と思えるほど美味しい。
美味しいお好み焼きが食べたいなら、手出し無用だ。
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お好み焼き 福竹
03-3739-4064
東京都大田区東矢口1-17-11
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131714/13003312/