2022年7月、期待の日本料理店が麻布十番に誕生した。
名前は『麻布室井』、屋号は場所と大将の名前でございます。大将の室井大輔氏、まだ若い31才ながら経歴は申し分ない。ミシュランの三つ星を堅持する「神楽坂石かわ」、神楽坂にある孤高の日本料理店「紀茂登」で合計12年も修練を重ねている。そして、この麻布室井のオープンにあって、鈴田式や新神戸のオーナーである末富氏の力添えも。その全てのキャリアとネットワークを完全に自分のものにしている、これがミトミえもんの新店に対する印象だ。
さて、話は戻して。
場所は麻布十番から程近い住宅街の中。店内外には胡蝶蘭がところせましと並び、多くの人たちに大将が愛されていることが伝わります。そう、彼は料理はもちろんのこと、愛すべき人柄も武器の1つなのです。ちなみに、恥ずかしながらミトミえもんの花も目立つところに飾っていただけてました。笑 店内は小さな9席のカウンターで、売りの1つである薪焼きの臨場感や大将のキャラクターを十分に楽しめる距離感になっております。
そろそろ、料理の話。
料理全体の印象はご説明通り、キャリアの全てが生かされているような印象。味については「紀茂登」の方向性に似ており、素材の味わいを尊重したもので、特に出汁のクオリティーには目を見張るものが。これがベースになっているので、どの料理も総じて完成度が高い。そして、その中に「石かわ」流の斬新さも随所に。また、鈴田式や新神戸と同じように「薪」を採用し、炭も加えた2つの火入れで料理に幅を持たせております。
料理のラインナップはこちら。
「先付」蒸し鮑と車海老。下にはとうもろこしのピュレ、上には出汁のジュレ。組み合わせの面白さと出汁の旨さ。
「凌ぎ」昆布出汁の米に蛤の天婦羅。山椒醤油で。
「御碗」毛蟹と冬瓜のお椀。昆布がちの出汁の旨味が強く、その恩恵をしっかり具材達が受けております。
「御造」真子鰈とアオリイカ。前者は新鮮でいかった状態だが、肝醤油が旨味を補完。結果、いいところどり。アオリイカの大胆なカットながら細かい包丁で柔らかくいただけます。
「揚物」鮎。塩焼きで飽きているところにしっかりと揚げた鮎。銀餡っぽい餡と合わせるのは石かわのアプローチ。
「口直」蓴菜とトマト
「焼物」ここで薪と炭の食べ比べを実践。
薪で舞茸を焼き、炭で白甘鯛を焼く。それぞれの風味の違いも面白ければ、遠火で香りを失わぬ舞茸に悶絶。
「賀茂茄子」揚げて出汁をかけただけ。賀茂茄子の甘さはもちろんだが、やはり出汁が美味。
「食事」2種類。1つは、鳥取の星空舞に鹿児島の黒毛和牛のシャトーブリアン。
もう1つは、薪の風味をつけたのどぐろご飯。薪の効果かわからないが、脂がいい意味でなく、落ち着いた味わいで楽しめます。
「氷菓」ピスタチオのアイスクリーム」
「水菓子」7種くらいのフルーツと白ワインのジュレ」くらい、ってのがいいよね。笑
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麻布室井
東京都港区三田1-10-15
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13274103/