2018.03.30 夜 調理をするのではなく、素材が行きたいところに連れていく@三菊 鍋・おでん 四ツ谷・市ヶ谷・飯田橋 5000円〜9999円 ★★★★★ 神楽坂にある老舗の水炊き店『三菊』へ。ここ神楽坂に店を構えて45年。父親の代でスタートした店で、創業から数えると55年という年月が経つそうだ。その歴史に似合う味のある外観で、神楽坂という街にもよくマッチしております。 メニューは季節を問わず水炊き一本。時間をかけてご主人がつきっきりで丁寧に鍋を作ってくれます。この日は他のお客さんがなく3時間程度だったが、日によっては4時間もかかることもあるのだとか。時間がかかる理由はシンプルだ。普通は鍋といえば、様々な食材を一緒に煮るものですが、こちらでは1つ1つ順番にいただくのです。 料理の前にご主人の言葉をご紹介させてください。「調理をするのではなく、素材が行きたいところに連れていく」。確かに彼は料理をしているというよりも、1つ1つの食材を鍋に入れて、静かにその様子を伺っているという印象だ。まるで食材の声を聞いているかのように静かに鍋を見つめております。 最初はあらかじめ鍋に入れていた鶏肉だけをいただきます。あまりのシンプルさに驚きを覚えますが、これがまたしみじみ美味い。ポン酢も薬味もなく、本当にシンプルに素材の味だけを感じさせてくれます。 今度は白菜の出番だが、くたくたというより、とろとろな食感を実現。今度は白菜自身が持つ甘さに驚きを覚えます。素材の良さを引き出すという言葉に偽りなし!! スープは、食材が順を追って通り過ぎていくたびに味に深みが出てまいります。鶏や白菜の旨味を加えた後は、榎茸と葱、豆腐と続いていきます。 集大成となる鶏肉は最初のものとは全く違うものに変化しております。すごい! 鍋の締めの定番である卵雑炊でございます。卵を溶かずにそのまま落として蒸らして作り上げ、塩だけでシンプルに調味をしています。 にもかかわらず、クリーミーでまろやかな仕上がりに。ご主人の言葉を借りれば、間違いなく素材達は行きたいところにたどり着いたのでしょう。 そうそう、ご主人は我々が美味しいという言葉を投げかけるたびに、「ありがとう」と返してくれます。この言葉はもちろん我々に向けてくれているのだろうが、同時に食材への感謝の言葉のようにも聞こえます。美味しい鍋の秘密はこの感謝の気持ちなのかもしれませんね! その他の鍋までの料理達。 「ジャコ」 「しらす」 「キンキの味噌漬け」 「生牡蠣」 「石鯛と真鯛」 — 三菊03-3269-0340東京都新宿区神楽坂4丁目3https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13047247/