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2018.01.28 夜

喜びは雪のように。@にい留

天ぷら

名古屋市

30000円〜49999円

★★★★★

実はミトミえもんは天ぷらが苦手だ。どうしても油の強さに胃が耐えられず、ほぼ確実に胸焼けするといっても過言ではない。そこをクリアしてくれた天ぷらのお店は数少ないが、名古屋のある『にい留』は軽々とこのハードルを越えてくれた。それは、天ぷらの最初に提供された海老で確信できます。個性的なのは衣。例えるならば、この日も名古屋で積もっていた「雪」の印象がぴったり合う。舌に乗せると雪のようにとけて主役の食材が舌の上に顔をだします。こんな衣はなかなか出会ったことがない。

これを実現するのは火入れ。ネタによっては火を止めて揚げるなど常識では考えられない芸当をやってのける。一番驚いたのは「帆立」。火を止めて、つけて、止めて、つけてと凡そ他の天ぷら店では考えられない火入れを実行。食材に層が出来上がり、全く新しい食感が生み出されます。三重県産の「筍」をいただいた際もユニークな一面がみえる。衣の付け方においてなんとわざとムラを作っているのだ。衣があるとこ、ないとこといった感じで。逃げ道を作り脱水してバランスをとる。これも凄い技術だ。

食材にも強いこだわりを見せます。全国から食材を集めるが、名古屋近辺の地のものはさらに格別。南知多にある篠島の「河豚の白子」が素晴らしい。色、艶、大きさ、どれをとっても一級品であることは一目瞭然。味については塩がきかないほど強く、刺激の強い黒七味といただきました。いやいや、これほどまでとは。河豚屋さんと錯覚するほどです。これもまた知多産の「原木椎茸」は、天ぷらにしてもパサつかないモンスター食材。ジューシーさがキープされている。時間をかけて表だけ揚げるそうだが、食材ごとに揚げ方をかなり研究されたのでしょう。

錯覚といえば、小休止でいただいた刺身もまた寿司屋を彷彿とさせます。三キロアップの平目とエンガワ、師崎の鯛も天ぷらのお店で食べられるとは思わなんだ。食材そのものだけでなく、手の掛けようからもこだわりが伝わる。一番感動したのは聖護院蕪のスープに浮かべた「白甘鯛の天ぷら」。二週間も熟成し塩をあてた甘鯛は、厚みと比例するような旨味がひきだされます。

最後の〆は天丼か天茶。ヨシエビと小柱のかき揚げの天丼をいただきましたが、やはり衣は雪のように消えていきます。改めてこの衣のユニークさに驚きます。帰りに店を出ると、外の雪もすっかり消えていました。この日の名古屋の天候が、まるでにい留さんの天ぷらを表現していたかのようです。

その他のメモ。(写真を自粛したので、文章だけで恐縮です)

「噴火湾の鮟肝」ぬた和え。65度の火入れで柔らかく仕上げる。アクセントに重ねられたピスタチオがユニーク。
「蛸」地のもの。身のしっかりした食感に対して皮はとろとろに仕上げる。味の強さが際立つ。
「海鼠腸の茶碗蒸し」ちょこんと乗せられた海鼠腸の味が全体の方向性を決定。酒とも相性抜群なこいつは香川産。
「アオリイカ」8日熟成。一見時期違いだが、実は冬のアオリイカが美味いのだとか。貴重な素材は弾力がしっかり。
「空豆」香りがすごい。甘さもすごい。
「白海老」富山県産。四日熟成。
「ふきのとう」三重県産。天然のもの。
「太刀魚」6日熟成。塩をあてる。肉厚にもかかわらず溶けるような食感。脂が多い証拠。
「牡蠣」これも凄い素材を仕入れている。岩手の赤崎のジューシーな牡蠣。
「レンコン」糸引きよいいもちもちした食感。
「行者ニンニク」
「白魚」
「オニオンブランシェ」玉ねぎになる前。甘い。
「ノレソレ」愛媛産。穴子の稚魚。割ポン酢で。生命力がすごい!
「雲丹」宮崎産の海苔に水分をぬいて旨味を残した雲丹をのせる。まるでフィンガーフードのようにいただきます。
「穴子」対馬産。 さっきまで生きていたのがわかる。身が生きてるよう!

にい留
052-936-2077
愛知県名古屋市東区泉2-19-11 キャストビル泉 2F
https://tabelog.com/aichi/A2301/A230104/23050337/

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