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2017.04.07 夜

日本からハワイへ。名店「すし匠」の進む道。@Sushi Sho(ハワイ)

海外(ハワイ)

海外

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昨年のすし業界の最大のニュースはこれを置いてないだろう。あの四谷の名店「すし匠」のハワイ移転。確立したポジションを捨ててまで中澤大将が目指したものはなんだろうか?移転直前の大将の言葉を思い出す。 

「日本の魚を守る為」
世界的な寿司ブームに流通システムの確立の影響で、日本の魚が高騰。このままいくと富裕層が買占めが促進してしまうことを危惧してらっしゃいました。日本の魚が高騰している理由は、必ずしも魚の質の差ではないそうです。重要なのは「とり方」と「手当て」なんだとか。この文化を海外に持ち込むこと、これが大将がハワイを目指した理由だ。 

だから、ハワイすし匠には日本の魚は(一部しか)ない。

これが面白い。日本の鮨店では、ネタとともに地名を伝えてくる場合が多い。大間のマグロ、閖上の赤貝、対馬の穴子といった感じだ。当然だが、この枕詞が全て海外の地名になるが面白い。最初からワシントンの牡蠣(煮浸し)、シアトルのミルガイと続いていくのは非常に興味深い。ちなみにミルガイには地元パールハーバーでとれたクレソンと合わせられます。クレソンの苦味に土佐酢の適度な酸味や出汁の旨味など、海外の食材を使ってもなお「すし匠」に来たことを実感させてくれる。

すし匠を再認識する上で、やはりスペシャリテの存在は欠かせない。馴染み深いネタがすべてハワイ流にアジャストしているのだ。

例えば、「おはぎ」
大トロの筋を剥がしたものに沢庵とネギとで叩いたもの。ここにマウイ島でとれたマウイ・オニオンを混ぜたるがハワイ流だ。産地であるハワイでも高級食材として扱われるものだそうです。 

例えば、「あん肝スイカ」
あん肝とスイカの奈良漬を合わせたすし匠の言わずとしれたスペシャリテ。ロサンゼルス産のあん肝に合わせらるのは、スイカではなく椰子の新芽。ハワイの名産である蜂蜜も使っているのだとか。 

例えば、「いちご蒸し」
青森の郷土料理「いちご煮」に倣った「いちご蒸し」もすし匠の定番。これこそ、ハワイ流にバージョンアップをしている。サンタバーバラの雲丹にハワイ島のベイビー鮑、それに白と黒のキャビアをのせている。これだけ日本的な調理を海外の食材だけで完成するなど、さすがの一言である。 

もちろん、「ハワイすし匠」は「四谷すし匠」の焼き直しではない。ここでしか出会えなかった食材や料理達が新しいすし匠を形作っている。

ハワイ料理である「ポキ」
ハワイを代表する料理だが、これをすし匠オリジナルで提供している。。そもそもポキとは魚をぶつ切りにして、塩、醤油、油、海藻、香味野菜などで調味した調理。アヒ(ハワイ語でマグロのこと)は、ごま油とマウイオニオンマスタードを、鯛の昆布締めはマカデミアナッツ醤油に合わせる。これがゴマだれのような印象を持たせる。アラスカのサーモンはなんとバナナの葉でスモークしているのだ。 

ハワイの郷土料理である「ラウラウ」
タロイモの葉で包まれた蒸し焼き料理のこと。これをサーモンとオパ(赤マンボウ)の頬肉が主役となり、土佐酢のジュレとアスパラガスソースが合わされます。これこそハワイに来なければ生まれなかった一品と言っていいでしょう。

料理だけでなく、ネタそのものも見た事も聞いた事もないものが並んだ。

「オノ」昆布締めで提供。魚の癖が強いのか昆布は強めな印象。味は鰆に近いか。ちなみにシャリはカリフォルニア米。

「ハプップ」ハタ科の魚なのだそう。ハワイはモロカイ島の塩をこちらも強めに合わせる。強い塩味で甘みを引き出している。

「ミルガイのレバ刺し(シアトル)」こんなの初めて。淡白なのに濃厚。ごま油と合わせればたちまちレバ刺しへと変身。

「アク」鰹のようなメジマグロのような。バナナの葉の燻す。マウイオニオンとともに。 

 「ホワイトサーモン」日本にはない。旨味がねっとりと強く、これはかなり好みの一品。

「オパ」赤マンボウの粕漬け。フィンガーライムと合わせるが面白い。

「チェリーストーンクラム」生で食べられるはまぐり。旨味のレベルが違う。クリーミーすぎる一品。

 「アロハかんぴょう巻き」と「あん肝ドライパイナップル巻き」もはや日本の料理とは思えませんね。笑

これだけの新しい出会いが待っていると思わなんだ。だが、まだまだクライマックスが待っていたました。

すし匠の新しいスペシャリテは「モイ」。ハワイの王族して食べれなかったという魚をオープン前からスペシャリテに育てることを決心していたそう。だが、しめてもダメ、寝かせてもダメ。熟成の魔術師とまでいわれた中澤さんがたどり着いたのは「発酵」。 

 寿司の最も古い手法を使って完成したスペシャリテだなんて、なんかかえって素敵だと思いません?発酵によって引き出された未知の食材「モイ」の旨味は格別。ついついお代わりをお願いしてしまいました。 

ハワイに寄り添った新生すし匠。大将の握る鮨に、付け台に使われたハワイ原産のコアウッドがよく似合う。 

中澤さん、ありがとうございました!! 

その他、ハワイのすし匠のネタ達メモ。

「ヤシの実」ガリ
「ヤリイカの印籠詰め(ロサンゼルス)」
「平目(ボストン)」昆布締め
「小鯛のおぼろ漬け(ロサンゼルス)」柚子の香り
「ロブスターの紹興酒漬け」酔っぱらい蟹のロブスター版。
「マグロ」大間。これだけは例外的に日本の魚
「枝豆のすり流し」モロカイ島の塩を使用
「チェリートマトのピクルス」、あまい!酸っぱい
「エイジングとろ」
「ホワイトサーモンと雲丹(サンタバーバラ)の松前漬け」
「サヨリ(ロサンゼルス産)」
「いぶりがっこ」自家製のシャリチーズを挟んで。シャリでチーズを作るなんてなんてニクい演出。
「だし巻き卵」
「アヒ出汁」
「マンゴーアイスクリーム」

Sushi Sho
(+1) 8087299717
ハワイThe Ritz-Carlton Residences Waikiki Beach, 383 Kalaimoku Street, Waikiki Beach, HI 96815
https://tabelog.com/hawaii/A6001/A600101/60001702/

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