小野二郎91歳
森田一夫86歳
森田順夫82歳
彼らはいったい誰でしょう?決してのど自慢の紹介の言葉ではありません。日本の伝統食である「寿司」を引っ張ってきた重鎮達の名前と年齢だ。この年齢にあって未だ現役、なおかつ一番前を走り続けていることに驚きを隠せませんね。小野二郎は「すきやばし次郎」、森田一夫は「小松弥助」(昨年惜しまれつつ閉店したが復活の噂もちらほら)、小倉の「もり田」、いずれ劣らぬ名店です。
大阪にももう一人80代の強者がいるそうだが、東京、金沢、九州とエリアが分かれているのも面白いですね。今日は生ける伝説の一人『もり田』への初訪問です。
森田さんの寿司は「天寿し」をおいて語れない。ご存知の方も多いでしょう、日本全国の食通を魅了する九州前の代表格だ。今の天寿しは息子兄弟がそれぞれの屋号で継いでいるが、森田氏は先代の下で研鑽を重ねた言わば現天寿しの兄弟子にあたる方。かぼすや七味を使った塩ベースの九州前の寿司。地の魚を存分に楽しませてくれるのも特徴の1つだ。
つまみの最初、「ミルガイ」には地元大分のかぼす、「鯛」には七味で味付け。さっそく九州独特の寿司の面白さを堪能させてくれます。
地の魚で感動的だったのが生の「鯖」。透明感が違えば、歯ごたえも違う。五島列島で釣り上げたものがそのまま届くそうです。新鮮な鯖を生姜醤油でいただく。素材そのものを楽しめる一皿だ。
関門海峡の「蛸」も続く。水と酒だけで煮ているそう。めちゃくちゃ柔らかい。繊維をきるのに昔はビール瓶で叩いたそうですが、今は大根で叩くのだとか。瓶じゃ可哀想って、もり田さんの人柄が伝わります。
握りは、「ヨコワ」から。クロマグロの若いバージョンの魚です。脂は薄い印象なのですが、ねっとりした食感でじわじわ旨味が広がります。九州は仕事をしないなんて言われますが、出汁に漬けて味をコントロールしています。
これは珍しい、「河豚」の握りの登場。60年も前に出したそうですが、初めは怒られたのだそう。こういう方々が歴史を変えてきたのですね。ばっちりした歯ごたえのある身が柑橘の香りに包まれます。
今日の優勝は「サワラ」の炙り。七味とカボスの影響をこれほど全開に享受しているネタはないのではないか。脂の旨味、香ばしさ、酸味、辛味の一体感は神業だ。
神業といえば「剣先烏賊」の握りの美しさにも目をみはるものあり。大葉の苦味、柑橘の酸味、ねっとりした身の旨味は、もはや握りというより料理といったほうが納得いく。
料理といえば追加でいただいた「子持ち昆布」も非常に面白い。子持ち昆布にアボカドに数の子を海苔で巻いてるんですよ。シャリとネタが1:1じゃなさすぎます。これで一体感がでるのだから不思議だ。
時代ならではの話など、これほど実際に見てきた方の言葉の説得力はすごい。こんな素敵な時間をまた味わいたい。森田さんにはまだまだ現役で頑張っていただきたい。ご馳走様でした!
その他、メモ。
「あん肝」優しい味付けのあん肝
「ひらまさ」大葉を隠し味に。
「秋刀魚」山葵が鼻から抜ける!旨味とがっちり握手。
「鱈の白子」信じがたい旨味が溶け出す!もう痛風でいいやって気分。笑
「車海老」福岡空港の下で取れるんですって!まるで生きてるみたい!
「車海老・頭」
「サザエ」口の滞在時間が長いので、強い爽快感を感じます。
「平貝」平貝が雲丹を背負ってきた!
「のどぐろ」強い脂と柑橘って本当に合いますねぇ。
「鮪」ボストン産
「煮鮑」
「煮穴子」女将さんの担当。山椒のアクセント。
「赤貝」
「小肌」
「柿」デザート
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もり田
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