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2016.09.29 夜

幻の和牛「竹の谷蔓牛」との出会い!!@ボニュ

フレンチ

新宿・代々木・大久保

30000円〜49999円

★★★★★

和牛とはよく聞く印象があるが、完全な純血を守り続ける種は日本に2種類しかない。天然記念物にも指定される「見島牛」と日本で唯一の野生牛である「口之島牛」のみと云われている。ところが、なんともう1種類存在していた!名前は「竹の谷蔓牛」。岡山県県新見市神郷地区に十数頭しか存在せず、年間一頭のみしか出回らないという「幻」の言葉がふさわしい牛だ。この牛を唯一食べることができる『ボニュ』。美食の王様と呼ばれる来栖けいさんの主催するレストランである。

来栖さんは語る。「料理はシンプルに、シンプルなぶん料理にふさわしい器で提供します」。幻と呼ばれる和牛ですからね、下手に調理をするのではなく、素材の力を最大限に引き出すことがミッションなのでしょう。それは全ての料理に共通します。

「レタス畑」
料理はシンプルという言葉を体現するのにふさわしい一品目はレタスのテリーヌ。確かにものすごくシンプル。外見にはもはやレタスそのものなのだ。一度芯をくり抜いて直接ドレッシングを流し込んで固めるのだそうだ。

ギリギリ固まるか固まらないかのタイミングをピンポイントで狙った結果、素材がもつシャキシャキ感が失われることがない。畑を意識した土色の器の上で採れたてのレタスをいただいているようです。

「収穫」
大根が丸々一本土に埋まっている!これ以上ないシンプルな大根料理かと思いきや、この大根はなんと器だったのだ。

大根といえば秋刀魚、秋刀魚といえば大根です。中には丸々一匹の秋刀魚が横たわります。内臓と骨をすべて取り除き、蒸して仕上げた秋刀魚。秋刀魚の骨と柑橘でとったソースに柔らかい秋刀魚が絶妙。

しかもただのサプライズ的な器ではなく、きっちり機能も果たしている。大根は身を柔らかくする作用があるので、ふわふわに仕上がります。肉の存在を忘れてしまうほどのインパクト。大根の収穫にとどまらぬ、新しい食体験の収穫でもあった。

「抽出」と銘打つのはオマール海老のビスク。さっきまで固体だったオマールが一瞬でビスクに。短時間だからこそ香りがでるのだとか。オマールと水と塩だけの素材だけの味を堪能できる。

「シンプル」きのこのリゾット。舞茸、エリンギ、しめじの3種のキノコに米と水と塩。いっさいの組み合わせを排除したシンプルな素材で構成される。

スープをとるキノコとリゾットのキノコは別のキノコ。Wキノコがこの驚くほどの香りの正体か。

さてさて、お待たせしました。本題を忘れるところでしたが「竹の谷蔓牛」の登場です。

「体温」とメニューに書かれるのは、まさに体温と同じくらいの温度帯。大きめな竹の谷蔓牛の全体重を支える部位である「脛肉」。普通は煮込みなどで使いますよね。

筋繊維が複雑に入り込むので、角度や厚みを計算して薄くきる技術が求められるそうでこういった提供方法は難しいそうだ。コンソメなんかにも使われる脛肉の旨味の素材力をきっちり引き出している。トリュフを大胆にちらしているが、噛みしめているうちに肉の余韻がじわじわトリュフの風味を超えて生きます。

「ボニュ焼き」
竹の谷蔓牛のイチボ。断面は美しい均一の色合いと焦げる寸前まで焼かれた表面。切っても何もでないのに、噛むと肉汁があふれだす。なんて不思議な現象でしょう。口の中でしか肉の旨味が出ないのだから旨いのは当然だ。

素材を活かすボニュの肉からはやはり純粋な牛の味が伝わってきます。濃厚な味というよりは中の深い部分に秘められた旨味の塊だ。やはり幻という言葉がふさわしい。

サーロインは概念が変わる。和牛のサーロインっぽくない印象だが、むしろこっちが純血の和牛。初めて本物の和牛のサーロインを食べたということだ。

美しい断面を噛むと弾力があり、押し返してくる力が加わります。歯が通った瞬間に肉汁が弾け、口の中に旨味が広がっていきます。この脂にラディッシュや山葵が抜群に合う。

竹の谷蔓牛。一年に一頭ということは、その年に食べた人は同じ肉をいただいてるということですね。同じ釜の飯を食べるじゃないけど、この美味さを味わった人とは仲良くなれそうです。幻は見たことがある人にしか伝われないですからね。来年も幻を拝みに参ります。

ボニュ
080-7811-3570
東京都渋谷区代々木4-22-17 クイーンズ代々木 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13184186/

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