2025.11.18 昼 料理雑誌がたどり着いた、定食の答え@dancyu食堂 居酒屋・定食 東京・日本橋 1000円〜2999円 ★★★☆☆ 東京駅の喧騒を抜けた先、グランスタ八重北の一角に、白い暖簾に“食の雑誌”の名前を掲げる食堂がある。雑誌「dancyu」が初めてプロデュースした店で、その名も『dancyu食堂』。掲げるテーマは“ふつうで飽きない美味しさ”。生産者の想いを大切にし、季節の食材を丁寧に扱うという哲学が、店内の案内文からもじんわりと漂ってくる。気負いのないカウンターは、日常に寄り添う定食屋そのもの。 看板とも言える「生姜焼き定食」は、千葉県産の匠味豚を一枚一枚焼き色がつくまで火入れし、玉ねぎやりんご、生姜のすりおろし、醤油や酒を合わせたタレでまとめたもの。 皿に盛られた豚肉は軽く反り返り、脂身の縁にこんがりとした焼き色が宿る。ひと口目、タレの甘辛さと生姜の香りがしっかり主張し、すぐに豚の脂の旨みが追いかけてくる。玉ねぎはしゃきっとした歯ごたえが残され、甘みと食感の両面でアクセントを生む。肉そのものもしっかり噛み応えを残した火入れで、白米に寄り添うための最適解を狙ったような設計。 その白米がまた侮れない。米屋と相談して選んだ国産米を羽釜で炊き上げ、ふっくらとした粒立ち。生姜焼きのコクを受け止めながら、後味には米の甘みがきれいに残る。味噌汁は鰹・鯖節の合わせだしが効き、漬物やひじきの小鉢もきちんと整っている。この整い方が、食べ進めるスピードを自然と上げてしまう。 追加で頼んだ「唐揚げ」は、にんにくと生姜を効かせた漬けダレにくぐらせ、米粉を混ぜた衣で揚げるスタイル。外はかりっと、中はじゅわっと肉汁が広がる。一口目はそのまま、二口目はすだちを絞って、と案内に書かれている通り、酸の爽やかさが加わると味の輪郭が一段くっきりする。定食にもう一品足したいとき、この唐揚げはなかなか頼もしい存在だ。 雑誌が長年積み重ねてきた“おいしいとは何か”という知識と経験が、肩肘張らない定食という形でアウトプットされた店。特別な技法を並べ立てるのではなく、素材の扱い方や火入れ、米や汁物の整え方といった基礎の部分で答えを返してくる。ご馳走様でした。 — dancyu食堂03-6810-0525東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅 グランスタ八重北 1F 八重北食堂https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13271151/