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2025.11.06 昼

“これがいい”と思えるパンのかたち@Te cor gentil

パン・サンドイッチ・ハンバーガー

六本木・麻布・広尾

1000円〜2999円

★★★★☆

麻布十番の商店街を抜けた先、やわらかな光と優しさに包まれるような空間が現れる。ガラス張りの外観が印象的なベーカリー『Te cor gentil』。2022年に誕生したこの一軒は、「terre=地球」「corps=身体」「gentil=優しい」という3つのフランス語を掛け合わせた造語を店名に持つ。卵・乳・バターを一切使わないヴィーガン製法が基本でありながら、最近ではグルテンフリーにも本格的に取り組む。まさに、地球にも身体にも優しくお店。

単なるコンセプト勝負ではなく、“制限の中でどれだけ美味しくできるか”にもしっかり挑戦している。きっとひと口目でそのストイックな姿勢に気付くはず。例えば、「ドーナツプレーン」。外はカリッと香ばしく、中はもちっとした密度のある生地。口にした瞬間に感じるのは、噛みしめるような確かな弾力。素材の力をストレートに伝えるその潔さが印象的で、ヴィーガンという枠組みの中でも、生地で勝負できていることに驚かされる。

「ピスタチオクロワッサン」は、緑と黄金が交差するビジュアルがまず美しい。噛むとサクッと層が割れ、香ばしさの中からピスタチオの風味がじんわりと現れる。バターなしでこの層感、この香り。もはやヴィーガンであることが売り文句でなく、当然の前提となっている。

「クリームパン」は、植物性のクリームとは思えないほどのなめらかさとコク。ふわふわの生地と口どけの良さが一体になり、どこか懐かしくも新しい。

「チョコクロワッサン」は、ずしりと重厚な見た目に反して、口当たりは驚くほど軽やか。ぎっしり詰まったチョコレートクリームは濃厚ながら重すぎず、ザクッと割れる生地との対比が楽しい。罪悪感を抱かせないチョコパン、ここにあり。

惣菜パンでは、「コロッケバーガー」と「焼きそばパン」が異彩を放つ。不利な部分を“惣菜に負わせる”という構成で、パン自体はあくまで優しく受け止める立場に徹している。「コロッケバーガー」は、ガリッと揚がった衣の迫力に、しっとり生地が寄り添うスタイル。

「焼きそばパン」は、なんと麺までもグルテンフリー仕様。そこまでするか、と笑ってしまうけど、食べたら納得。小麦を使わずに、ここまで“ちゃんと焼きそばパン”として成立させている執念に拍手を送りたい。

『Te cor gentil』は、“優しいパン”の理想形だ。食の制約を逆手に取り、選べない人のためだけでなく、あえて選びたくなるパンを作っている。素材を削ぎ落としてなお、ここまで満たされるパンはそう多くない。どのパンにも「これでいい」じゃなく「これがいい」がある。味覚にも、価値観にも、やさしく強い。ご馳走様でした。

Te cor gentil
03-6809-3230
東京都港区麻布十番2-18-8 グランルーブル麻布十番 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13277388/

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