2025.05.30 夜 木の子に導かれる、代々木八幡フレンチ@シャントレル フレンチ 京王・小田急沿線 10000円〜29999円 ★★★★☆ 代々木八幡の静かな街並みに佇むフレンチレストラン『シャントレル(Les Chanterelles)』。店名の“シャントレル”とは、フランス語でアンズタケ――つまり、キノコのこと。その名を掲げるだけあり、料理の端々に山の香りが息づいている。シェフ・中田雄介氏は、“キノコの魔術師”と称されたフランス三つ星『レジス・マルコン』で修業を重ねた人物。その経験が、このレストランの芯となっている。 コースの中でもスペシャリテとして供されるのが「木の子のお茶」。かつての師のスペシャリテであったコンソメを、ティータイムのような優雅さで再構成。あたたかいスープの香りに包まれつつ、添えられるのはなんとフォアグラとバターを練り込んだマカロン。塩気とコクが口内でスープと響き合い、甘味とはまた違う“午後のひととき”が完成される。 続く前菜「スモークサーモンのリエットと木の子のトースト」は、穏やかな燻香とキノコの芳しさが一体となり、バゲットにのせれば完成される一口。 続く「新玉ねぎのムースとトマトのジュレ」では、素材の甘みと酸味が揺らぎのように交差し、口の中を一度まっさらに戻してくれる。 「メヒカリのベニエ」は、まさにこの季節の恵み。衣揚げされたメヒカリは、トマトのガスパチョとともに食すことで、軽やかな酸味が旨味を引き立てる。舞茸とそら豆のフリットも実に香ばしく、みかんと生姜のジャムでの味変も楽しい。添えられたゼンマイのサラダも含め、構成が多層でありながら自然にまとまっている。 魚料理は「鰹のマリネ」。生の鰹に紫キャベツ、下には玉ねぎとマヨネーズ、ニンニク。そして、決め手は生姜のキャラメリゼ。日本の伝統的な香りの組み合わせを、見事にフレンチの構成に落とし込んでいる。 野菜料理は「ホワイトアスパラ」。濃厚なオランデーズとサヴァイヨンの二重奏が、端正な火入れのアスパラに寄り添う。アスペルジュ・ソバージュの香りと柑橘の爽やかさが、味わいに陰影を加えていた。 メインは「バスク産乳飲み仔羊のロースト」。ミルキーな風味とふわりとした肉質に、ジロール茸とレンズ豆の力強さが寄り添う。そしてこの皿には“追いピゼリ”が用意されており、余ったジュのソースに、春のグリーンピースを混ぜ込んだバターライスを流し込む構成。食べ終わる瞬間まで、味の物語が続く仕掛けだ。 デセールは、ベトナム産チョコレートの濃密なテリーヌに、ホットワイン香るシャーベットを添えて。温度とスパイスが後味に奥行きを与える。 山と火の香り、そしてクラシックと自然の共鳴。穏やかながら芯のある料理構成で、ひと皿ごとに静かに語りかけてくる。ご馳走様でした。 — シャントレル03-5465-0919東京都渋谷区元代々木町24-1 アブニ―ル元代々木 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1318/A131810/13128296/