2025.05.19 夜 翁のDNAが息づく、清澄白河の蕎麦処@ふかがわ翁 そば 両国・錦糸町・小岩 1000円〜2999円 ★★★★☆ 清澄白河の静かな一角に佇む『ふかがわ翁』。その店名からも分かる通り、山梨の名店「長坂翁」の系譜を汲む蕎麦屋である。ご主人は、名人・高橋邦弘氏が広島に移った後に「長坂翁」で修行を積んだ人物。直接の薫陶を受けたわけではないそうだが、その仕事ぶりには、確かに翁のDNAが感じられる。控えめな佇まいといい、真摯な蕎麦といい、名店の系譜は今もこの場所に息づいている。 まずは蕎麦前を。小鉢で供された「牡蠣のオイル漬け クリームチーズ添え」は、口にした瞬間に目が覚めるような濃厚さ。旨味の強い牡蠣にまろやかなチーズが絡み、酒を呼ぶ構成だ。 続く「揚げ餅の磯辺巻き」は、もっちりとした食感に加えて、香ばしさと出汁の染みた味がじわりと広がる。しっかりと“蕎麦前”としての仕事をこなしてくれる。 そして主役の「ざるそば」。細身ながらしっかりとコシのある麺は、喉越しのつるり感と、噛んだときの“むに”という弾力が印象的。口に含めば、ふわりと香りが広がる。 つけ汁は出汁の存在感が強めで、きりっと輪郭が際立つ設計。蕎麦の繊細な風味を邪魔せず、それでいて芯をくれる。最後はさらりとした蕎麦湯で締め、重たくない余韻が身体を包み込む。 『ふかがわ翁』には、翁を名乗るだけの説得力がある。技術の高さも然ることながら、蕎麦を中心に据えつつ、それを引き立てる“前座”もまた魅力的。名人・高橋邦弘氏の精神は確かにこの店にも受け継がれていた。ご馳走様です。 — ふかがわ翁03-6659-2294東京都江東区常盤2-12-12 RR tokiwa 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1312/A131201/13244447/