目黒川沿いに店を構えるフレンチレストランの『クラフタル』。手技を意味する「craft」と物語を意味する「tale」を重ねた造語。生産者が作る大切な食材を通して、そこにストーリーを作るという意志の表れ。語り手を務めるのは若さ溢れる大土橋シェフ。本場フランスで腕を磨いた経験を持ち、2015年に中目黒に店をオープンさせています。さて、今宵はいったいどんな物語を見せてくれるのでしょう。

最初は「ニセアカシア」の料理から。生とフリットしたものをロメインレタスの上に盛り付けます。少しむせるほどの強い酸味が食欲をそそります。山羊のミルクでコクを加えております。盛り付けも含めて涼しげな印象で季節にぴったりな一品です。

続いて鰯の料理。それ単体でも脂ののりや炙りの風味で勝負できるものだが、フェンネルやシブレットなどハーブを中心とした色とりどり食材達がお皿を賑やかにしております。それぞれの味が立っておりますが、鰯の脂が強いおかげで、あくまで脇役として仕事をこなすことができます。ただ華やかなだけでなく、きっちりバランスをとれているのが好感度が高い。

今度はリードボーのムニエル。海老の出汁やココナッツミルクがソースの役割を果たすが、カレー風味のスパイス達がエスニックな印象を作っております。ミントで作っている泡による爽快感もポイントになっております。ちなみに、野菜達は広島にある梶谷農園のもの。きっちり生産者の気持ちは、シェフを通じて我々に届いております。

さて、今日の物語の主人公は「とうもろこし」のようです。最初は口直しにとフローズンの形でやってきました。スポンジでもアイスでも新しい食感との出会いです。味は批判を恐れずにいうと、スナック菓子の美味い版。自然食材でみんなが大好きなスナック菓子のエッセンスを感じられるなんて贅沢だと思いませんか?

真打は、とうもろこしによるカルボナーラ。パスタの役割はとうもろこしの髭が担い、具材は焼きベビーコーンが担当します。

カルボナーラの材料は半熟卵やサワークリームに分解され、卵の中にはトウモロコシとピュアホワイトの2種類のソースが詰められます。全てを混ぜ合わせて「とうもろこしカルボナーラ」の完成ってわけです。とうもろこしがカルボナーラになるまでの「物語」が本当にユニークですね!

メインの魚料理は「鮎」、肉料理は「羊」でございます。前者は大自然を泳ぐような清々しい姿に鮎やゴーヤの苦味が生命力を感じさせます。

後者はブリオッシュの包み焼きで、ソースはムール貝が務めます。貝の濃厚な出汁がジビエの癖を上手に隠してくれています。


デザートは「蜂蜜とレモン」「アマゾンカカオ」を使ったもの。蜂の巣やアマゾンの生い茂る緑を表現したクリエイティブなデザートでございました。こんな美しい料理が楽しめますが、春先にいくともう1つの美しい光景に出会えます。目黒川といえば桜ですよね!大きな窓からは目黒川の桜を臨みながら、クラフタルの技が織りなす素敵な物語に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。


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クラフタル
050-5590-1398
東京都目黒区青葉台1-16-11 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131701/13186719/