2026.06.03 昼 名駅地下に残る、昭和のスパイス。@タンドゥール カレー 名古屋市 1000円 ★★★☆☆ 名古屋といえば、喫茶店文化や味噌文化のように、独自の食文化を長く育ててきた街。そんな土地で、名駅地下のミヤコ地下街に根を張るのが、昭和50年創業のインドカレー専門店『タンドゥール』。新しい店が次々と生まれる一方で、ここは流行に寄せることなく、一杯のカレーを磨き続けている。名古屋のカレー史を語るうえで、外せない存在のひとつだ。 メニューは潔く「インドカレーとご飯」の一本勝負。選ぶのは甘口、中辛、辛口という辛さの加減、そして白米かターメリックライスか。銀色のオーバル皿に盛られたライスと福神漬け、昔ながらのソースポット。この飾らない佇まいにも、長く愛されてきた店らしさが滲む。 「インドカレーとご飯」 ルーは、さらりと流れるタイプではない。玉葱の繊維を残した、どろりと重たい質感。ライスにかけると、ゆっくりと山をつくる。じっくり火を入れた玉葱の甘味を土台に、トマトの酸味、鶏肉の旨味、スパイスの香りが重なっていく。印象に残るのは、少し焙煎香を思わせる香ばしさ。長時間炒めた玉葱の甘香ばしさと、乾いたスパイスの香りが合流し、単なる辛さだけでは終わらない。 今回はターメリックライスを選択。軽やかな香りが濃度の高いルーを受け止め、福神漬けの甘酸っぱさが途中に小さな変化をつけてくれる。 最近のスパイスカレーとも、欧風カレーとも違う。玉葱の甘味を軸にした、どこか薬膳的な着地。食べ進めるほどに味が馴染み、気づけばソースポットは空になっている。名古屋駅の地下で、長く変わらぬ一皿を守り続ける『タンドゥール』。選択肢を増やすのではなく、ひとつの味を深くする。そんな老舗の強さを感じる一軒。ご馳走様でした。 — タンドゥール052-586-2855愛知県名古屋市中村区名駅4-9-10 ミヤコ地下街https://tabelog.com/aichi/A2301/A230101/23000920/