2026.05.31 昼 広島お好み焼きに、ひとつ先の景色を@Masaru お好み焼き・もんじゃ焼き・鉄板焼き 広島市 3000円 ★★★★☆ 広島駅新幹線口から歩いて約10分。光町の通り沿いで、赤と黄色のポップな看板が目を引く、お好み焼き・鉄板焼き店『Masaru』。2010年の創業以来、この地で暖簾を掲げる。店主が腕を磨いたのは、グアテマラ出身のフェルナンド・ロペス氏が営む横川の人気店『LOPEZ』。さらにその源流には『八昌』がある。広島のお好み焼きの系譜を受け継ぎながら、自らの感性を重ねる一軒だ。店内は、厨房を囲むコの字型のカウンター。目の前の鉄板では、焼ける音と立ち上る香りが絶えず食欲を刺激する。料理が運ばれる前から、すでに食事は始まっている。 まずは、とりあえずの「ガツ」。薄く切り揃えたガツにネギを散らした、軽やかなスターター。コリコリとした歯応えが心地よく、噛むほどに内臓らしい旨味がじわりと広がる。濃厚なお好み焼きへ向かう前に、口の中をさっぱりと整えてくれる。メインを待つ時間も、こういう一品があると楽しい。 続く「牡蠣の昆布出汁」がいい。鉄板の上に小さな鍋を置き、ふっくらとした牡蠣を昆布出汁で温めながらいただく。香ばしく焼くのではなく、鉄板の熱を穏やかな煮込みへと転換する発想が面白い。昆布の旨味に牡蠣のエキスが溶け出し、食べ進めるほどに出汁の輪郭が深まっていく。ぷるんとした牡蠣はもちろん、最後の汁まできっちり美味しい。鉄板という舞台で、広島らしい食材に少し違った表情を与えている。 締めは「お好み焼き(そば)」。鉄板の上に登場した一枚は、ソースの艶やかな褐色、卵の黄色、青海苔の緑が重なり、いかにも食欲をそそる表情。野菜は鉄板の上でじっくりと蒸され、キャベツの甘味をしっかりと引き出す。麺には香ばしい焼き目がつき、キャベツの柔らかな食感とのコントラストもいい。そこへ豚肉の脂、卵のまろやかさ、ソースの濃厚な甘味が重なり、一枚としての満足感をきっちり作り上げている。 そして、ぜひ加えたいのが「ハラペーニョトッピング」。刻まれた青唐辛子のピリッとした刺激とピクルス由来の酸味が、甘いソースの余韻をすっと切る。修業先で学んだエッセンスだが、単に辛味を足すだけではない。濃厚なお好み焼きに軽やかなリズムを生み、次の一口を自然と呼び込んでいく。気づけばヘラが止まらず、一枚をぺろり。 『Masaru』の魅力は、修業先で学んだスタイルを土台にしながら、自分の店として鉄板の楽しみ方をきちんと広げていること。広島のお好み焼きらしい基本に、ハラペーニョの爽やかな辛味と酸味を重ね、一枚の輪郭を軽やかに整える。学んだものをそのまま置いておくのではなく、自分のカウンターに馴染む形へと仕立て直している。ランチで気軽に立ち寄りながら、一味違う広島のお好み焼きと鉄板料理を楽しめる。広島駅周辺で覚えておきたい一軒だ。ご馳走様でした。 — Masaru050-5890-8116広島県広島市東区光町2-14-24https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340121/34014562/