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2026.05.16 昼

蛤、蛤、蛤。桑名で出会う専門店の底力@蛤料理 うえむら

日本料理

四日市・鈴鹿・亀山

10000円〜29999円

★★★★☆

蛤の名産地といえば?

この問いに、多くの食通が真っ先に挙げるのが三重県桑名市だろう。江戸時代から「その手は桑名の焼き蛤」と洒落にされてきたほど、桑名の蛤は昔から全国区の名物だった。その理由は、やはり育ちの良さにある。木曽川、長良川、揖斐川という三つの大きな川が運ぶ山の栄養と、伊勢湾の海の旨味が交わる場所。いわば、川と海のいいとこ取りをして育つのが桑名の蛤なのだ。だから身はふっくらと厚く、噛めば甘味がじゅわっと広がり、後味には澄んだ磯の香りが残る。

そんな桑名の蛤を味わう名店として、今もっとも注目を集める一軒が『蛤料理 うえむら』。

前身は2019年に桑名駅前で開業した「蛤一択」。その名の通り、桑名産天然蛤だけに向き合う専門店として人気を博し、2025年4月に屋号も新たに移転オープンした。祖父の家を改装したという空間には、どこか家庭的な温度と、完全予約制の料亭らしい特別感が同居する。本日、そんな蛤を約1.5kgも味わい尽くす。まさに、蛤の聖地における蛤のための劇場だ。

刺身で香りを知り、焼きで旨味を浴び、揚げで甘味を凝縮させ、鍋で出汁を味わい、締めで余韻まで食べ切る。同じ蛤でありながら、火入れや調味の角度が変わるたびに、ぷりっと、とろっと、むっちり、じゅわっと表情を変えていく。単一食材のフルコースなのに、単調さはない。むしろ、蛤という食材の懐の深さを思い知らされる構成だ。

「蛤の酒蒸し」
三重県産伊勢の茶そばと共に。ぷりっとした身の甘味、とろりと広がる出汁。初手から蛤そのものの力を見せつける。

「蛤のお刺身」
内臓を抜く丁寧な仕事が光る一品。鮮度と下処理が揃ってこそ、蛤の香りと甘味がここまでダイレクトに届く。

「焼き蛤」
バター、醤油、バター醤油、すだち絞りで味変。香ばしさもコクも柑橘のキレも、最後は蛤の旨味に回収される。

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「蛤のグラタン」
味噌のニュアンスと乳脂肪のコクが、蛤出汁と手を組む。洋の技法で、蛤の旨味に別の奥行きを与えている。

「蛤の磯辺揚げ」
海苔の香りが蛤の磯味を増幅し、揚げることで身の甘味がぎゅっと凝縮。香りと食感で流れを変える一品。

「蛤のしぐれ釜飯」
甘辛く炊いた蛤の旨味が米に染み込み、青ねぎの香りが全体を軽やかにする。濃い味なのに箸が止まらない。

「蛤のしゃぶしゃぶ」
出汁にくぐらせると身はふっくら膨らみ、噛めば甘い汁がじゅわっと広がる。

「蛤出汁の葛切り」
蛤の旨味をまとって、つるり。黒胡椒の香りが輪郭を引き締める。

「蛤鍋の野菜」
三つ葉、白ねぎ、木綿豆腐まで蛤出汁を吸い込む。名脇役たちも抜かりなし。

「蛤の雑炊」
米が蛤出汁を吸い込み、卵と一体になってやさしく締める。ここまで食べても、まだ旨いと思わせるのが恐ろしい。

「蛤ラーメン」
澄んだ蛤出汁が麺に絡む、会席の締めにまさかのラーメン。遊び心がありつつ、出汁を食べ切る理にかなった一杯。

「三重県産大内山濃厚バニラアイス」
黒蜜きな粉の甘味で、蛤尽くしの口内をやさしく着地。濃厚なミルク感が最後に三重らしさを添える。

『蛤料理 うえむら』の魅力は、ただ希少な蛤を大量に食べさせることではない。刺身、焼き、蒸し、揚げ、グラタン、釜飯、鍋、締めと、同じ素材の表情を角度を変えて見せ続けることにある。桑名の天然蛤という一点突破でありながら、食後に残るのは単なる満腹感ではなく、蛤という食材の奥行き。桑名まで足を運ぶ理由が、ここにはちゃんとある。蛤好きなら一度は体験すべき、記憶に残る蛤会席。ご馳走様でした。

蛤料理 うえむら
三重県桑名市福島676-1
https://tabelog.com/mie/A2402/A240203/24021471/

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