2026.05.13 昼 歴史と価格で食べる、池袋の天丼@天丼ふじ 天ぷら 池袋~高田馬場・早稲田 1000円〜2999円 ★★★☆☆ 池袋駅西口、北側の出口を出てすぐ。昭和の面影を色濃く残す大和産業ビルの一階に、赤い看板を掲げる『天丼ふじ』がある。創業は大正13年とも伝わる老舗天丼店で、池袋という街の変化を見続けてきた存在だ。カウンター中心の小さな空間に、揚げ油の香りと甘辛いタレの匂い。ここにあるのは、流行を追うグルメではなく、駅前でサッと腹を満たすための日常の天丼だ。 注文したのは「特製天丼」。海老、穴子、烏賊、春菊、海苔、獅子唐がのって、味噌汁付きで1100円。池袋駅前という立地を考えれば、それだけで一つの価値になる。駅徒歩すぐ、提供も早い、値段も手頃。つまり『天丼ふじ』のポジションは、天丼専門店でありながら限りなくファストフードに近い。牛丼や立ち食いそばのように、サッと腹を満たして街へ戻る。その気軽さこそ、この店の最大の魅力だろう。 丼の上には天ぷらがぎゅっと重なり、穴子がどんと横たわる姿はなかなかの迫力。タレはしっかり甘辛く、油、タレ、白飯の三位一体で腹に訴えかけるタイプだ。中でも春菊のほろ苦さは、甘辛いタレの中でいいアクセントに。海老は天丼らしい主役感を担い、烏賊は噛み応えで存在を主張。後半に天ぷらの下から顔を出す紅生姜もいい。油に寄った口の中を、ピリッと立て直してくれる。 『天丼ふじ』は、完成度を細かく測る店というより、歴史と価格、そして立地が作り上げた日常食の一軒だ。大正創業と伝わる長い時間、池袋駅前という一等地、そして1100円の「特製天丼」。美食のために背筋を伸ばす場所ではなく、赤い看板に吸い寄せられ、カウンターでサッと食べ、また池袋の雑踏へ戻っていく場所。街に残るべきファストフードとは、きっとこういうものなのだ。ご馳走様でした。 — 天丼ふじ03-3985-0844東京都豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13026100/